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ずっとオズがこちらを見ている為、何処か緊張した面持ちでワインを開封した私は今ワイングラスにワインを注いでいる。綺麗な赤色のワインからは甘いベリーの香りが漂っている。
「 あ、オズはワイン入りますか…?グラス持ってきますよ 」
「 ……私はいい。おまえを見張る義務がある 」
「 そ、そうですよね。なんだか申し訳ないです 」
「 気にするな。自由にワインを嗜むと良い 」
「 ありがとうございます…!では、いただきますね。乾杯〜 」
オズの方へ少しだけ体を向けてグラスを傾けてエアー乾杯をしてみれば、静かに頷いて飲む姿を見守ってくれた。
「 わ〜、これ美味しいです…!ワイン、あんまり飲まないんですけど、ぜったいこれ日本では味わえないやつです!美味しい! 」
このワイン最高に美味しい。めちゃくちゃ美味しい。
元の世界にいるお酒好きな友達とか絶対これ好きだ。
夢中になってグラスを煽り、あっという間に注いだ分は空になり、もう一杯注ごうとワイングラスを机に置いた時。瓶を持とうとした手に何故か力が入らなかった。頭も何処かふわふわとしている様な気が…。
「 ………………これ、友達絶対好きなやつ、、。帰って飲ませてあげたい…。」
「 ………………………… 」
「 なつかしい…。つらいことあったとき、いっしょに飲んでたんだよね、、私はノンアルだったけど、、いやだな、、もどりたいな、どうして、?私はなにをしてるんだっけ。なんであの子にあえないの 」
「 ……………………おい 」
自然と視界がぼやけて俯いた瞬間にズボンを涙が濡らした。それは止まることを知らずにぽたぽたとシミを増やしていく。
「 ………いやだ、、つらい、、にどとあえなかったらどうすればいい?けんじゃでもないわたしのそんざいってなに…? 」
そこまで言葉を発した瞬間、大きな手が私の視界を覆った。暖かいその手はそっと私の目にあてがわれて、涙を優しく拭う。
「 おまえには皆感謝している。魔法舎の家事や日々依頼を解決する魔法使い達のサポート、心が疲弊した魔法使いを癒す事。おまえにしか出来ない事だ。 」
「 ほ、ほんとうです、か、それ…。こんな一般人が? 」
「 嗚呼。魔法使いの心を助けているおまえの心が1人で傷付くのは許されることでは無い。 」
覆っていた手が外れ、視界が開けた私の目に映ったのは、何処か寂しそうな顔をしたオズの姿だった。
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rufu(プロフ) - No.3さん» お返事遅れてしまい申し訳御座いません…!ありがとうございます!モチベになります、嬉しいです…! (2023年1月29日 0時) (レス) id: e99adfba6e (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - カインが天才的にイケメンしてる…書き方上手ですね!! (2022年7月7日 7時) (レス) @page26 id: 5d07dd0044 (このIDを非表示/違反報告)
rufu(プロフ) - *ゆきうさぎ*さん» お返事遅れてしまい申し訳御座いません…!ありがとうございます!とても嬉しいです…!更新も出来ればと思っています。ありがとうございます…! (2021年6月14日 22時) (レス) id: ec4581993d (このIDを非表示/違反報告)
*ゆきうさぎ*(プロフ) - すっごく好きです…!!最近まほやくにハマったのですが、まほやくの夢小説ってなかなかなくて…。更新いつまでも待ってます…! (2020年7月14日 14時) (レス) id: f13975ef27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rufu | 作成日時:2020年2月16日 2時