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「 じゃあ、仕方ないけど食べてもらうしかないな 」
ニヤニヤと顔を緩ませているネロに何だかしてやられた気がして不満が募る。
「 う、食べ過ぎるなって言ったのはネロなのに… 」
「 あ? 」
「 すみませんすみません!! 」
謝り倒しながら、再びフォークとナイフを持とうとするが目的のそれがお皿の上から消えていた。と思えばネロが常に持っていて、パンケーキを一口サイズに切っている。
「 ネロ…?フォークとナイフを… 」
「 はい、どーぞ 」
「 えっ 」
ずいっと切り分けた一切れを私の前に持ってきている。これ…俗に言うあーんってやつじゃ
「 じ、自分で食べれますよ!? 」
「 いいから口開けろって、俺がクリーム付かないように上手く食べさせてやるから 」
ほらほら、とパンケーキを近付けられ、催促されるがままに口を開ける。
「 もっと開けないと入んないぞ 」
「 もう精一杯ですよ!! 」
まるで歯医者さんの検診を受けているかのように口を開けている私はパンケーキが入ってくるのを待つ、が、一向に何も口に放り込まれない。
しびれを切らして口を閉じようとした
その刹那
「 っ、んっ……!? 」
優しく何かが口に押し当てられ、後頭部をそっと包まれる。それと同時に熱いものが口内に侵入し、思考が追い付かない。これ、、って
接吻され……てる、、
「 っ、はあっ、、ッ、」
脳が可笑しくなりそうで、私は机に置かれたネロの片手をとんとん叩いた。
ぴくっ、とネロの指がそれに反応し、当てられている唇がそっと離れる。つぅ、と糸が引いていて、ネロが椅子に座ると ぷつん、と切れて。もう私の顔は真っ赤に染まっている。
「 ね、ネロ……な、何して 」
肩で浅く息をしながら、見つめることが出来ない向かいに座る彼に問いかければ
「 甘いの、好きなんだろ 」
「 え、い、今のって、そういう… 」
ぱっと顔を上げれば、意外な事にネロの顔も真っ赤で、目が合った途端片手で自身の顔を覆っては俯いてしまった。
「 わ、悪い…その、違うんだ、これは 」
何だかそんな彼の様子が数刻前の自分と重なって、笑みが零れる。
「 ふふ、同罪…ですかね 」
「 いや、ほんと悪かった、何してんだろうな俺… 」
私の呟きがネロには届いていないようで、
「 ご馳走さまでした 」
「 なっ、 」
今度は私が身を乗り出してそっとネロの頬にキスを落とした。
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rufu(プロフ) - No.3さん» お返事遅れてしまい申し訳御座いません…!ありがとうございます!モチベになります、嬉しいです…! (2023年1月29日 0時) (レス) id: e99adfba6e (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - カインが天才的にイケメンしてる…書き方上手ですね!! (2022年7月7日 7時) (レス) @page26 id: 5d07dd0044 (このIDを非表示/違反報告)
rufu(プロフ) - *ゆきうさぎ*さん» お返事遅れてしまい申し訳御座いません…!ありがとうございます!とても嬉しいです…!更新も出来ればと思っています。ありがとうございます…! (2021年6月14日 22時) (レス) id: ec4581993d (このIDを非表示/違反報告)
*ゆきうさぎ*(プロフ) - すっごく好きです…!!最近まほやくにハマったのですが、まほやくの夢小説ってなかなかなくて…。更新いつまでも待ってます…! (2020年7月14日 14時) (レス) id: f13975ef27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rufu | 作成日時:2020年2月16日 2時