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金曜の夜、マルはいつものようにやって来た。いつ切り出せば良いのか…。もう最後やって迷っているうちに、普段通りに時が過ぎていく。
「すばるくん。」
迷っている俺に、何かを決意したような声が届く。マルの真剣な瞳にとらえられて、動けなくなった。
「俺、すばるくんのことが好きです。バンドに入ってから、その声に、姿に、存在に…すべてに憧れて、男やのに、どうしようも出来なくて…。でも、ほんまに、恋愛感情の好きやねん。俺と、ちゃんと付き合ってほしい。」
まっすぐなマルの言葉。4年もうやむやにしてきた俺に突き刺さるまっすぐな言葉たち。このタイミングは…運命なんやろうか…
「マル…俺、お前のこと大切には思ってる。でも…それが恋愛感情なのか…自信がない。お前のこと一生背負っていくって思っても、やっぱりそこまで背負いきらへんって思う自分がおる。」
「うん…」
「散々お前に甘えて、期待を持たせて…。ずっと苦しい思いさせてすまんかった。ごめん…お前の気持ちには答えられへん。」
「ん…。…わかった。」
うつむくマル。グッと奥歯を噛み締めて、また俺の方を向いた。
「今まで…ありがとう。遊園地で見た彼女、良さそうな人やった。」
「え？」
「ほんまに偶然見かけもーてん。でも、もうちゃんとけじめをつけろってことやったんやって思ってる。」
「そう…か…。マル…ほんまに…」
「俺が女の人やったら…、何度も何度も考えて、どうしようもなくて。もっと早く決心できてたらよかったのに。散々悩ませて、俺に付き合わせてごめん。」
「お前が謝ることなんてない。俺の中途半端な態度のせいでほんまに傷つけた。ごめん…マル…ごめん…ほんまに…」
「も…謝らんといて。優しくしてくれて嬉しかった。今度会ったときは憧れの先輩ってだけ。でも…結婚式には誘わんといてな。密かにお祝いしたいから…」
「マル…」
「じゃ、もう帰るから…」
「…今まで…ありがとう、マル…。」
「うん。ありがとう、すばるくん。」
バタンと扉がしまる。動けない。俺は永久にマルを失った。これでよかった。あのまま関係が続いてたら、２人とも辛いだけ。
「マル…」
世界が歪む。後悔してるんか、俺。あいつが女やったら…俺かて何度も何度も考えた。もう終わったんや。何度も体を重ねたベッド。のぼせて慌てて出てきた浴室。２人で料理したキッチン。…マル…ごめん。
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orange(プロフ) - ありがとうございます！コメントをいただけてとてもうれしいです。更新、少しのんびりしますが、よろしくお願いします☆ (2021年4月24日 18時) (
レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
akao(プロフ) - はじめまして^_^いつも更新楽しみにしています☆2人がどうなっていくのかワクワクしてます^_^これからも更新無理なく頑張ってください^_^ (2021年4月21日 19時) (レス) id: 078dcaab9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：orange | 作成日時：2021年3月21日 20時
