可愛くて抱きしめたくって困るよ ページ23
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ちゅんちゅんと鳥が鳴く爽やかな朝。
ふわふわとした意識の中、冷気がちょっぴり肌寒く体を縮こませる。
ずっとこうしていたいところだが、そうもいかない。
寒さをグッと我慢してベッドから出ると目に入るのは机の上に散らばった空き缶。
片付けまでして寝ろよ。と昨日の自分を責めながら、先に顔を洗おうと洗面所へ向かう
そこの光景を見た瞬間を一言で表すなら「最悪」
酔った勢いで前髪を切った。「いい感じじゃん」と思ったし、散らばった髪も片付けた記憶もちゃんとある。
しかし現実は、
髪の毛が散らばったままの洗面台、ガタガタな前髪。
言葉の通り「最悪」である。
一番短いところに合わせて切れば、オン眉とまではいかないがやはり短い。
アイロンで必死に伸ばしたところで長さは変わらない
今出来ることと言えば昨日の自分を恨むことだ。
意味ないと分かりながらも、試行錯誤しながら前髪と格闘していれば、あっという間に家を出る時間。
結局、机の上の空き缶も結局そのままだ
…………とりあえずは帽子をかぶって誤魔化そう。
「おはようございます、」
ドアを開けると誰もいない。
どうやら私が一番乗りのようだ
何かの手違いで1人の仕事にならないかなと願っても無駄である
「おはようございまーす」
「俊樹くん、おはようございます」
「Aと行く途中会うかと思ってたのに(笑)
その帽子いいね、似合ってる」
そう褒めてくれるけど、今日だけは特にジロジロとみないでほしい
＿「増田さんちょっといいですか？」とスタッフさんに呼ばれ出て行った俊樹くん。
小さくホッとため息をついた
しかし、先輩の前で帽子を被り続けるわけにはいかないので本日何回目かもわからないくらい昨日の自分を責めながら帽子を外す
朝、鏡で見た自分は幻だったらいいのに
なんて意味の長いことを考えながら机に伏せた
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作者名：凜 | 作成日時：2022年11月13日 21時
