四十一話 ページ43
「ああー…。もおダメだぁ…！！」
頭を抱えて、選手たちが集まる楽屋のはじっこでダンゴムシのように小さくなったAが今にも死んでしまいそうな声で言った。
フロイドに励ましてもらって、アズールさんの酔い止めの強力版の薬を飲んでも、未だに緊張から、冷たい汗が頬をつたって床に落ちた。
ここにきて、緊張でやられるのかよ…！
と自分への自己嫌悪が降って掛かり、ふぅーと大きく深呼吸をするが、まだ身体じゅうに張巡らせていた神経が緩む気配はない。
すると、やがてほとんど部屋の空気になりかけていた俺に誰かが後ろから声をかけてきた。
「あの＿＿大丈夫ですか？もしもし？」
薄く目を開けて振り返ると、これまたエペルと並べるくらいの美男子が、腰を屈めてAを見下ろしていた。
うわぁ、顔良っ＿と目の前の男の白い肌を見つめると、俺は思い出したようにゆっくり体を起こした。
「すまん。迷惑だったら外すが…」
「いえいえ、お気になさらず。顔色が悪かったので、ここの生徒さんですよね？」
はいっと俺に水の入ったペットボトルを手渡した彼は俺の顔をまじまじと見た後、にっこりと眩しいくらいの笑顔を向けてきた。
「君、ヴィーくんのこと知ってる？」
「……シェーンハイトさんのことか？」
俺が反射でそう答えると、一気にぱっと表情が明るくなった彼は、やっぱり君がヴィーくんの代わりなんだね！と嬉しそうに言った。
そこでやっと理解する。この異様に美形な少年が、あのジェイドが言うネージュさんだということに。やはり、超のつく有名人が小さな楽屋の中ではしゃぐものだから、じろっと俺に部屋中の視線が向かってくる。何か疲れるものを感じて、俺はネージュさんから離れようと声をかけた。
「じゃ、俺席外すんで。声かけてくださってありがとうございました」
「あっ！ちょっと待って！」
後ろから俺をせき止める声が聞こえてくるが、わざと聞こえないふりをして足早の傍から去る。
パタン、と部屋を閉じると同時に、はぁ〜と深いため息が口の中から漏れだした。
「なぁんで、俺。めんどうなことにあうんだろ」
これは不公平だ！と内心愚痴を零すが、チッと口内を打っただけで収まった。さっきの一件もあったおかげかやや気持ちにスイッチが入った。
おし！と軽く自身の頬を叩き気合を入れる。
しかし、その瞬間、俺の手にツタたちが根を生やし、警戒するようにあたりを散策し始めた。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
