三十八話 ページ40
聞けば、俺はナイトレイブンカレッジの個人戦枠を勝ち取ったらしい。
その後、学園長とも話したが俺はかわいそうなほど期待されておらず、学園長は個人戦よりシェーンハイトさん率いる団体戦、つまりチームとしての勝利を望んでいるんだとか。そのチームの中にはエペルも入っているらしく。ものすごいスパルタだという。
「ねぇ、僕ってそんなに女っぽいの？」
食堂で隣に座ったエペルが悲しそうに府向いてそう言った。その横でパンを食んでいたAが驚いたように目を見開く。
「……なんか、言われたんか？」
「まーね。少し疲れたよ」
そう言って、はぁとため息を吐いたエペルに俺はどこかと知らない声色で声をかける。
「まぁ、綺麗な顔はしてるよな。お前、もしかしたら普通の女の人より綺麗なのかもしれねぇよ」
俺は隣で落ち込んでからか府向いて上げないエペルの頭を出来るだけ優しく撫でる。
「お前、自分の顔。コンプレックスなのか？」
そう問いかけるが隣から答えを促す発言は飛んでこない。
「残念だが、顔は生まれつき決まってるもんだ。お前さ、俺みたいなそこら辺の雑草みたいな平凡な顔立ちの野郎より顔が整ってんのに、それに見合う人間になろうって思わないのかよ？恵まれた環境、それに綺麗な歌声も持ってんだからそこんとこ感謝して生きていかないと、折角、VDCみたいな大きな機会が逃げちまうぞ」
だから、ちゃんと自分の良さを認めて胸張って行ってこい、とパンっと軽くエペルの背中を勇気づけに叩くと「うん」と小さな声が隣から聞こえてきた。
多分、ヴィルさんに自分の容姿についてエペルは言われたんだろう。エペルは見た目は可愛らしいが内心は男だ。やはり女物の格好は抵抗があるんだろう。
だからこそだが、ヴィルさんの言葉には説得力がある。
俳優として歌手としては若い年齢だが、それでも大手に負けないほど人気が衰えないのは、容姿や歌やヴィルさんだけが持つ『美しさ』で、ファンを楽しませる魅力があるからだ。
「あっ、ちなみに。泣いてる顔はタイプじゃねぇから、泣くなよ」
泣いてないし！と意地を張るエペルだが、やはり不安が少し打ち解けたんだろう、目元には今にも泣きだしそうなのか涙目になっている。「もう僕行くからね」とやや拗ねたように席を離れていくエペルが見えなくなるまで見送った。
「さて、俺も練習でもするかね」
俺はのちに来るVDCの個人戦に向け、歌の練習を始めた。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
