三十七話 ページ39
「んでっ！どうだった？」
やや興奮気味に俺に話しかけたエペルに、「ああ…エペルか…」と俺が生半可な返事を返すと、俺の隣にすとんと座ったエペルが俺の話を聞こうと猫のような目をランランと輝かせてきた。
ふぅ、と軽いため息を吐くと観念したようにAが口を開いた。
「……落ちた」
は？とエペルの形のいい口から困惑の声が漏れる。
内心、申し訳ない気持ちで満たされるが、それ以前にエペルが俺の肩を強く揺さぶり追い打ちをかけてきた。
「ちょっと！A歌上手いのに！なんで落ちるわけ！？」
「わかんねぇーよ、俺審査員じゃねぇんだから。なんか金髪のショートカットの男の人は百点！って言ってきたけど、シェーンハイトさんに、論外って言われちまった…」
「きっと何かの間違いだよ！ちょっと待ってて僕がヴィルさんに確認しに行くから！」
「ちょっ！やめろよ！ただでさえ俺目立ちたくないっつーのに！」
ヴィルさんの元に特攻しに行くエペルの腕を掴み、必死に落ち着け、と声をかける。
エペルは俺をなにかしらそのVDCに出させたかったそうだが、それは叶わなかった。俺がその試験に落ちたからだ。一応、音楽や歌に関しては好きだが運動はめっぽう嫌いな方だ。それでも一応、ジャミルさんやカリムさんに習いダンスを習得しようと徹夜していたのだがいつも気づけば寝ていて朝になっていた。
というわけで、何が何でも出させるというエペルの信念が勝ったのか、そのVDCの個人戦とやらのオーディションがあることを最近知った。
ダンス、歌、なんでも好きなのでエントリー出来るらしい。しかしその個人戦には今回、シェーンハイトさんが出場することはなく、倍率が驚くほど高いらしい。しかもネージュという人気俳優も参加するのこと、正直興味がない。シェーンハイトさんに会えることを楽しみにしていたため若干テンションが下がる。
そして迎えたオーディション日だが、アズールさんがやるならオクタヴィネルのことを宣伝しろと俺の愛用のギターにタコのシールを貼る始末。
「オーディション、頑張ってきてくださいね」
と明らかな商売目当ての笑顔を向けてきた。オーディションを無事に終えるとその数日後。
ヒュン！
と矢が俺の顔の横の壁に突き刺さりその先の方に手紙がかけてあった。
その手紙を見た途端、俺とエペルが叫ぶ。
『厳正なる審査の結果、千河A』
『上記、一名を合格とさせていただきます』
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
