二十一話 ページ23
「では、現況は僕が起こした発端でもありますし。彼の身元はオクタヴィネル寮が責任をもってお預かりしましょう」
気づけば、俺なしで会話がどんどん進んでいき、俺が口出そうとしたらアズールさんがこちらをぎろり、と効果音が付くほどの鬼気ぜまった目で「黙ってろ」と言ってるのを肌越しで感じ。ひっ、と軽い悲鳴を俺は上げた。
そんな俺を尻目に学園長と呼ばれた男が近づいてくる。俺の目の前に来ると興味部駆けに覗き込んだ。
「んー…。でも君自体には魔力はないように見えるんですけどねぇー」
そう俺に触れようとしてきた瞬間、アズールがどことも知らないように言う。
「危険です。離れることをおすすめしますよ。学園長」
ドンッ!!
何かを蹴るような。一際大きな音があたりに響き渡る。
憎しみ、怒気、殺気。色々なものをぐっちゃぐっちゃに混ぜたような感情が窓の方から学園長に向けて放たれているのを感じ、思わず腰を上げかけた。だけど俺は窓の方から感じる禍々しい重圧よりも足元に広がる植物に動きを止めてしまう。学園長が俺から距離を取って窓の方を確認した。俺も釣られるようにそちらに目をやって、思わず固まった。
先ほどまで光が差し込んでいた窓にこちらを睨め付けるように植物達が張めぐされてある。日光の光など窓から差し込むことはなく、ふっと室内が闇に取り込まれた。
「ほら見ろ。こいつら俺のこと気に入ってんのかなんなのか、俺に触れようとした奴全員に敵意むき出しにしてやがる」
俺は眼球だけを動かして、首元に当てられたステッキを見る。
リドルがマジカルペンをAの首元に当て、厳戒態勢をとっていた。たらり、とAの額から冷たい汗が頬を伝い床に落ちた。
リドルもリドルで冷や汗をかきながらAのほうをじっと見つめている。リドルがあえて魔法を使わなかったのは、学園長がAに触れる瞬間、一瞬Aが強烈な殺気を放ったからだ。自分に害を与えるものに対しての異常なまでの殺気。
そこでリドルは理解する。
___この子が、学園長の首をはねる、と。
そこからはとっさに身体が動いた。人に使用することを躊躇っていた魔法を使うことも脳内に考えて。
「驚きましたね……。想像以上にやばいですよ、君の魔法は」
「しょうがないですね。君が言ったとうりこの魔法達が害を与えるのならば、所有者の君がちゃんとしつけなけれないけません。出来ますね?」
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです!!!!!! (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです! (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねっとり | 作成日時:2022年1月20日 16時