十七話 ページ19
さっきの、というのは、あのチェカを救うときに建てた木の壁のことだ。生身の身体では魔力もない俺に救う力をくれたのは紛れもなくコイツらで、それに関しては純粋に感謝している。
「A…」
そう言ったエペルに視線を戻す、どこか興味と恐怖があったのだろう。俺の服のそでをエペルは強く握りしめた。
「そんなに怯えんなよ。コイツらは結構優秀でな、危害を加えない限り大丈夫だ。どちらかと言えば人懐っこい部分もある」
スルスル、と俺の首元にツタが這いまわる。少しくすぐったいと思うと、ツタはエペルのことを興味深げに観察し始めた。
「ああ、もしかして」
Aはポケットの中に手を入れると、そこに入っていたものを取り出す。エペルが「それは……？」とまばたきをした。
「クッキーだよ。はい、こいつらに食べさせてあげて」
ビニールで包装された大きめのクッキーを、俺はエペルに差し出す。彼は「え？」と戸惑いつつ受け取った。
「そのクッキー、めちゃくちゃ美味しいんだよ。えっと確か、トレイ？トレイさんっつーここの生徒さんの店が出してるクッキーでさ、俺のおすすめの一品。騙されたと思ってこいつらに食べさせてみな。多分、警戒は解けると思うぜ」
やや強引に勧めると、エペルはおずおずと包装を破り、黄金色に焦げ目のついたクッキーを目の前で蠢く植物達に近づける。
その瞬間。
ぱくん。とエペルのクッキーを持っている手ごと、植物達は取り込んだ。想像を絶するキモさに俺は一瞬呼吸が止まるのだが、エペルは「うえぇ……」喉から引きつったような声を出した。
「ご、ごめんな。こいつら食には目がねぇから！で、でも！こいつらエペルのこと気に入ったような感じしてるし、手も無事だから、まぁ、大丈夫だろう！」
多少ごまかすためにエペルから視線を外すが、当のエペルは植物達に取り込んだ際についた緑色の液体が手にべっとりついている。申し訳ないと思いながら俺はエペルにハンカチを手渡そうとした瞬間、
「あっ！いたぁー」
という声と共に、俺の首元に手が回る。目の前にいるエペルとは思えない、大きく、ゴツゴツとした手。
なんだこれは＿＿
と思う間に、俺はガンッ！！と近くの壁に押し付けらえた。
「かはッ」
衝撃と痛みで喉から止めどのない息が漏れる。そこでやっと自分の首が絞められていることに気づいた。抵抗しようとすれば、首を絞める力が強まった。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
