十六話 ページ18
「おい、エペル？」
俺は元の場所にギターを置くと、未だにぼーっと俺を見続けているエペルの目線に合わせて座る。しかし、どんなに声をかけてもエペルが答えることは無い。
「…え？おいエペル。体調悪いのか」
俺はゆさゆさとエペルの肩を揺するが、今はギターを久しぶりに弾けた喜びよりも不安のほうが大きかった。しばしエペルの様子を見守っていると彼の小さい唇から声が漏れた。
「本当に、君ってここの生徒じゃないの…？」
そう俺に、不思議な視線を投げかけてくるエペルに違和感を覚えながら俺は口火を切る。
「ここって、ナイトレイブンカレッジのことか？なんで、俺の演奏とそれが関係あんだよ」
「関係もなにも、君、気づいてないの？」
「気づいてない…？どういうことだ」
何か嫌なものを感じて、俺はエペルから距離をとろうとするが、俺の手を掴んだエペルがぐいっと顔を近づけた。
「君が、演奏している時だけに流れる魔力かな…、僕だけの感覚だけど、寮長レベルだよ」
そう深刻な表情をして俺に言うエペルに、Aの口から「はぁ？寮長ぅ？」という困惑した声が漏れる。
「え？寮長って、そんなにすごいの？」
「まさか、寮長も知らなかったの？君が知ってる人でいったら、ヴィルさんとかかな」
実際に考えてみると、やっぱり理解が出来ない。俺とシェーンハイトさんが一緒という時点でおかしいし、俺の考えとは根本的に異なる。
若干顔が引きつっている俺に、エペルは興味津々なようで、俺の顔をぺたぺた触ったり、「ねぇ、今の魔力どうやって出してるの？」などと曇りなき眼で聞いてきた。
一気に距離が近くなったエペルの顔を手で押し返すと、困ったようにAは眉をへの字に曲げ言う。
「と、取り合えず、エペル。お前が言ってる寮長レベルの魔力ってのは、一つ、俺ではない」
その俺の発言にエペルはもっと困惑したような表情になる。
「よく考えろよ。お前が言う、演奏している時、歌っている時だけ俺はその魔力っつーものを使えるんだ。正直言って、俺にもよくわかんねぇんだよ。コイツらの正体は……」
Aはさぞめんどくさそうに首筋をボリボリとかくと、囁くように歌う。
歌いだしたその瞬間。ズッズズッ…と何かを引きずる様な音と共に俺の足元に“植物”が集まった。
「よぉ、さっきはありがとうな」
俺は軽く植物達を撫でる。すると、甘えるようにすり寄ったそれにAは眉を下げる。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
