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腕を組んだまま佐久間様は、夕日を背に浴びて優しい眼差しを向けてくれている。
彼ののんびりした語りが、つい今し方出会ったというのに私の口から思ってる事を引き出させる。
「私の両親は年老いています。それでも私を沢山愛して沢山可愛がってくれる。そのために、二人がしんどい体に鞭打って頑張ってくれているのも知っています。だから、」
このお城を維持できる殿様が与えてくれる金額なら、きっとこれから裕福に余生を楽しんで生きられると思う。
「お母さんは、子供が欲しかったから私が桃から産まれた異端な者でもすんなり受け入れ誰よりも愛してくれた。お父さん、口数少ないけれど私のために毎日畑仕事や山仕事をこなしてくれたから」
「そうか！桃姫ちゃんは、二人に親孝行がしたいんだねえ〜！ そのために好きでもない男に嫁ごうなんて……ぅぅぅっ、なんて健気なんでやんすか！」
袖で目元を多い、歌舞伎役者ばりに大袈裟な泣き真似を披露された。
でも佐久間様の臭い演技はこの際どうでもいいが、言っていることはその通りだ。
「でもさ、それって桃姫ちゃんが誰かの幸せのために犠牲になるってことだよね？」
袖から顔を上げて、すーっと細めた双眸が真っ直ぐ私を捕らえる。
「え、」
「だってそうでしょ？ ほんとは結婚なんてしたくないでやんしょ？ しかもあんな阿呆そうな殿様ぁ」
阿呆とは失礼な。
そんなこと言うという事は家来ではないのかな？
「なのに爺婆のために、桃姫ちゃんがこれからの一生をあの殿様にあーんな事やこーんな事されて、そのぷりんとした美味しそうな唇も、その着物の下に隠れた白くて柔らかそうな肉体も毎日好き勝手されちゃうんでやんしょ？」
私の頭のてっぺんから雪崩で座る爪先まで見て佐久間様はペロンと舌舐めずりする。
その瞬間、背中にぞくりと何かが走った。
「ふふふ、一人のモノになるなんてまた早い早い。勿体ないよそれはー」
「あ、あの？」
「だからね、そんな桃姫ちゃんに一ついい事を教えてあげよう！」
人差し指が目の前にピンと立ったせいで寄り目になる。
その人差し指を、私から視線は逸らさずに南の方角を向けて、
「これより南へ少し行くと、鬼ヶ島という鬼に支配された島があるでやんす。鬼は人々から金銀財宝を奪い飲めや歌えやの毎日。そんな鬼から金を奪い、両親に渡せば一生楽して暮らせるでしょうよ」
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ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (
レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜！！続きも楽しみです！ (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます！！お話書かれてるんですね！？よし見に行かねば！！ いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです！一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください（笑）食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ？（笑）まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです！ありがとうございました！ (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年10月24日 1時
