クライガナ島 ページ30
「恨みたい…恨みたい…恨みたい…！！
確かに私は言ったけど、旅行するなら暗くて湿ってて、怨念渦巻く古城の辺りで呪いの歌でも歌って過ごしたいって…」
茂った木、フクロウの鳴き声。不気味なほどに静寂な闇に包まれた島。空を見上げれば、海のように底知れぬ暗黒が広がっている。
そんな中、桃色の髪を可愛らしく二つに結んでいるある少女の無念な声が響いた。彼女の心中はこの島と同様、虚しく湿っている。
「でも召使いがいないなんて聞いてない！！朝はフカフカなベッドの上でベーグルサンドと暖かいココアを飲めないんて聞いてなぁぁい！！可愛いぬいぐるみが無いなんて聞いてないぁぁぁぁぁあい！！」
ここは偉大なる航路。
そしてここはシッケアール王国跡地。辺りには荒れた土地と崩れた建物、風と共に死臭のようなキツイ匂いが鼻をつく。
「ここはどこなの…モリア様……。寂しいよ…クマシィ…。スリラーパークに帰りたい……」
少女の片目から涙がほろりと零れ落ちる。だがその涙を拭いてあげる者は誰もいない。ここは誰もいない、そんな島である。
そんな時だった。
背後から騒がしい衝撃音が少女の鼓膜に触れた。
・
・
「…ん……」
男は窓から差し込む太陽の光に目を覚ます。頭の芯がズキズキと痛む。そして途端に体を走る激痛。体全体が何かに縛られているように身動きが取れない。
唯一分かるのは自分が死と隣り合わせだったということ。
「…生きてた…ここはどこだ…」
必死に思い出す。自分の身に何が起きたのか。
”旅行するならどこへ行きたい？”
あのときの言葉が走馬灯のように頭を駆け巡る。そして脳裏に、あのときの光景が明滅した。
「うああああああああああああ！！」
「いギャァァァァァァァァ！！」
自分以外の誰かの声。そして椅子が倒れる音。ハッと我に返った男は顔だけを向ける。
「……」
「……」
「テメェは…」
見覚えのある女。徐々に冴えてきた頭で必死に記憶を辿る。
”皆さんと同じ大地を歩いてすみません…”
ある意味、黒歴史でもある思い起こしたくない記憶が脳裏をよぎった。男は眉間にしわを寄せる。
この女は確かスリラーパークで…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 339人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れ(プロフ) - とってもおもしろいです！これからも楽しみにしてます、、！頑張ってください！ (2020年8月1日 3時) (
レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉(プロフ) - 名無し34187号さん» わざわざコメントありがとうございますTT。嬉しいです(^ ^)これからも更新頑張りますね！！ (2019年12月10日 14時) (レス) id: 7be676ba1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し34187号(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです泣。相変わらずの文才で、内容までめちゃくちゃ面白いです！！これからも更新楽しみにしています！ (2019年12月10日 14時) (レス) id: 00aa3bdea9 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 1番か4番がみてみたいです！ これからも頑張ってください！！ (2019年6月3日 18時) (レス) id: 33ef8a9a51 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - �θ屬�見てみたいです！！ (2019年6月3日 6時) (レス) id: a4b65807ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼葉 | 作成日時：2019年5月26日 19時
