【あんスタ】ハーバリウム《２》 (ページ23)

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71.影片みかページ23

影片.

「(……あ、転校生)」

ガーデンスペースを歩いていると芝生にしゃがみ込んでブツブツと呟きながらなんかしている転校生がいた。

うわっ関わったらあかんやつ

でも少し気になって足音立てずに転校生に近寄って手元を見てみると何故か花の冠を作っていた。

『まず２本の花を交差させて交差部分をしっかり押さえて上の茎を下の茎に巻きつけて巻きつけた茎が一番上に来るように２本纏めて持って３本目からは同じ手順でどんどん、どんどんどんどんどん』

「怖っ！！」

『……ん？』

「あ」

マジマジと見過ぎた。不意に振り返った転校生と目が合って脳と思考と身体が一時停止する。

『おやおや影片くんじゃないか。奇遇だな。僕に何か用か？』

「べ、別にお前に用なんかない！」

『なら花か？ここはシロツメクサが沢山咲いているからな』

「ちゃうねん！俺はただ偶然ここを通っただけや！花は……好きやけど興味あらへん！」

『好きなのに興味がないのか？』

「うっ……」

『君は矛盾しているな。知ってるか？矛盾が生まれるのは自分が本当のことを認めたくないから、とか当初の目的を忘れてしまっているかららしい』

「そうなん？転校生は物知りやな～」

『アホっていう奴がアホっていうのも矛盾らしい』

「んあ、たしかに！」

……って、

なに敵との会話に一喜一憂しとんねん自分！！

ちゃっかり転校生のペースに呑まれてしまった俺は自己嫌悪で自分を殺したくなる衝動にかけられる。

誰か俺を殺してくれ、と思っていると目の前に花冠を差し出され花の香りが思考をクリアにさせる。

『どうだ？上手く出来たろ』

「え……あ、たしかに上手やな」

『君のお師さんに教えてもらったんだ』

「……え」

まさか、お師さんが転校生と関わっていたなんて、しかも花冠の作り方を伝授していたなんて。

……俺が敵対していたのアホみたいやん

『怖い顔になってるぞ』

「！」

気づいたら転校生の顔が目の前にあってビックリしてしまう。

『僕とお師さんが仲良くしていることを知ってヤキモチ焼いてしまったのか？』

「え、そんなつもりじゃ……」

『ヤキモチは良いが嫉妬はしてはいけない。嫉妬は鬼になってしまうらしいからな』

嫉妬とヤキモチの区別って何、と聞こうとしたが、転校生は歩き出してしまう。

謝らないいけないのに＂ごめんなさい＂が口から出ない。

許してもらえないのが目に見えていて、怖くて、何も言えなかった。

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