69.羽風薫 ページ21
羽風.
「あ、Aちゃんだ〜偶然だね〜」
『話しかけないでください貴方のことが嫌いです』
「うわっ辛辣」
噴水前を歩いていると愛しのAちゃんが歩いていたため声をかけてみれば辛辣な言葉で一刀両断されてしまった。
見た目は良いのに口が悪いかつどんなに口説いたところで表情一つ変えない女の子は初めてで攻略方法はわからないけれど彼女の魅力なのかどうしてだか興味をそそられてしまう。
「そんな酷いこと言わないでよ〜せっかくの可愛い顔が台無しになっちゃうよ？」
『……ん？』
「？」
『深海先輩からの助言で��このことばをいえばだいたいのおとこはきえさりますよ〜��と言われたのですが羽風先輩には効果がないようですね。残念』
「深海さんから言われたの！？っていうか残念って素でもAちゃんって酷いよね！」
『先輩は相変わらず歯が浮くような台詞をペラペラペラペラと喋るんですね』
嫌がってるけど俺のこと嫌いではないよね、なんて言ってしまえば彼女のことだから次話しかけたら仕事関係以外無視されてしまうのが目に見えているため、あまり調子に乗ったことは言わないでおこう。
こんな可愛い子と仲良く出来ないのは男として勿体ないからね
『ところでペラペラ先輩』
「なにその風が吹いたらすぐ飛ばされそうな先輩」
『貴方は何故そんなに女性に話しかけるんですか』
「……え、もしかしてヤキモチ？」
『爆ぜてください』
「爆発しろと！？」
『僕の質問に答えてください』
「え？んー……なんとなく？」
『うわっ想像以上にクズだった』
『なんとなくは最低すぎますよ』と引いた目で俺を見るAちゃんは徐々に後退りしていく。
「だって本当になんとなくなんだもん。なんとなくで、なんとなくでなんとなくなんだもん。好きかなぁって思って、好きだなぁって感じて、好きだってわかる。そんな感じ」
『なるほど』
「わかってくれた？」
『えぇ、なんとなくわかりました。貴方は愛に飢えているただの狂者だということが』
……的確かつ酷いことを言うなぁ
あながち間違ってないから否定はしない。
でも俺は愛に飢えてはいない。だって愛したら相手から自然に愛をくれるんだもの。愛は手に余る程持ってるつもり。
「Aちゃんは人をよく見てるんだね〜」
『これで先輩も少しは幸せになれますね』
「え？」
『自分のことをちゃんと見てくれるなんて幸せじゃないですか』
.
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
