67.瀬名泉 ページ19
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「はぁ……」
『(……溜息？)』
廊下を歩いていると窓側で溜息を吐いて黄昏ている瀬名泉の背中がそこにあった。
彼もアイドルだから悩みを持つということか。彼の顔を覗き込もうとすれば彼の手には何枚もの遊木真の写真があった。
「今日もゆうくん可愛い……」
『先輩それ盗撮っすよね』
「うわっ！？」
『！』
僕にビックリしたのか廊下に遊木真の写真をばら撒かす瀬名泉に僕もビックリしてしまった。
「……いきなり話しかけないでよ！」
『先輩が勝手にビックリしたんじゃないですか』
「目線を落としたら生首があったらビックリするに決まってんでしょチョーうざぁい！」
どうやら瀬名泉には僕のこと生首だと思ったらしいが女子に生首は失礼だと思う。この人は遊木真以外はどうでもいいと思っているサイコ野郎だから仕方ないのだろうが、少し失礼だ。
『先輩って失礼ですよね』
「アンタも失礼でしょ」
『僕程良い子はいませんよ』
「先輩に対して普通は失礼とか言わないしアンタ程生意気な女はいないから」
遊木真の写真を拾い上げて見るとカメラ目線じゃないものばかりでバリバリの盗撮であった。
『警察に通報されても文句言えませんね』
「ゆうくんはそんな事しないから」
『んじゃ僕はどうするんです？証拠隠滅のため殺します？』
「それもいいね〜」
『うわっ本気の目で見られた』
「でもどうせアンタはしないんでしょ」
『お、よくわかってるじゃないですか』
理由は至って簡単。面倒臭いからである。
事情聴取も面倒臭ければ今後の生活にも支障が出るため僕はこの日常を守るために精一杯なのだ。
『先輩も僕のことわかってきましたね』
「わかりたくもなかったけどね」
『まぁもし僕が警察に通報したとして事情聴取やらインタビューを受けた場合は目に黒い帯状のモザイクを貼ってもらい声も加工してもらい��いつかやると思ってました��とコメントします』
「そういうこと考えてる時点で失礼だって言ってんだよ」
持っていた写真を僕から無理矢理取ると大切そうにカードケースに入れる瀬名泉。その姿はまるで恋する少女のようだ。しかし彼はどうしようもなく男だった。
『先輩が女性だったら仲良くなりたかったです』
「俺はたとえ女だったとしてもアンタと仲良くなる気はない」
『でも関わりたくない時はありますね。��他人のフリ中��というテロップが出る能力が欲しいです』
「だから失礼だっての！」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
