66.月永レオ ページ18
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『(あとはジャガイモと人参と玉ねぎと……肉)』
弟から渡された買い物メモを見ながら電気屋を出て道歩く人を避けながら街道を歩く。
このメモを見る限りカレーやらシチューやら肉じゃがやら今日の夕飯の予想を立ててしまう僕なのだが僕的にはジャガイモがゴロゴロしたカレーか肉がゴロゴロしたシチューか汁だくの肉じゃがを買いたいわけで。
しかし大体は論破され全て均等にされるのがウチの弟である
『……あでっ』
「と、ごめん」
失態である。誰かにぶつかってしまった。
ぶつかってよろついた身体を支えられ顔を上げると見覚えのある顔にドキリとしてしまう。
『あ、ありがとうございます……』
「……ん？お前どっかで見たことあるな」
『奇遇ですね。実は僕も貴方のことどこかで見たことあるな、と思っていたんです』
「でもどこで会ったか」
『どこで話したか』
「覚えてない」
「ですね」
変な会話である
気をつけろよ、とだけ言われ互いに軽く頭を下げて去ろうとしその時であった。
突然誰かから後ろから抱き締められた。
『！』
「思い出した！お前俺にペンくれた奴だろ！」
『……あ』
僕も思い出した。この人公園の真ん中で楽譜を書きながら変な言葉をつらつらつらつらと並べる変人で僕はこの変人にペンをあげたことを今思い出した。
「あん時は作曲に夢中で顔とかあんま見てなかったんだけど匂いは覚えてたんだ！」
『匂いで覚えられてたんですね僕』
「てかお前中学生か？」
『高校生です。高校生』
「そうなのか？俺も高校生！でも今停学くらってるから自分が今なんなのかわからん！」
『ただの退学者だと思われます』
「……お前まさか天才か！？」
馬鹿みたいな会話である
「そうだ！ペン返した方がいいよな？」
『だからあの時あげるって言ったじゃないですか』
「お前……聖母か！？」
『マリアはウチの親戚です』
「マジで！？」
『嘘です』
漫才のような会話である
「あ、俺は月永レオ！また会ったら話しかけてくれ俺も話しかけにいくから！」
『僕は花野Aです』
僕は貴方が作詞している場面に立ち会ったら声をかけずに他人のフリして逃げます、という言葉は喉の奥へとしまい、彼が連行されそうになったら僕が助けてあげよう。
「てかお前歳いくつ？」
『僕は１７歳です』
「んじゃ俺より歳下だな！勝った」
『負けました』
アホみたいな会話である
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
