46.刀物語 其ノ陸 ページ48
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山姥切国広
「……ん」
『え？』
「誤字」
『あ、すみません』
政府への報告書を山姥切さんに確認してもらい、誤字があったらしいので両手で受け取る。
山姥切さんはあまり喋る方ではない。室内でもずっと布を被っているという人で表情もあまり見えないと鯰尾くんに相談すれば��山姥切あるある��らしく他所の本丸でも山姥切さんはこんな風らしい。
『……山姥切さん』
「なんだ」
『疲れましたね』
「……写しと一緒にいるからだろ」
『(誰もそんなこと言ってないんだけどなぁ……)』
私は山姥切さんと一緒にいるから疲れたのではなく仕事につかれたんです、と言おうとすれば鬱モードに突入する山姥切さんは今日も通常運転だ。
『私は仕事に疲れて』
「なら休憩すればいい」
『山姥切さんも休憩しましょ？』
「俺はあんたより働いてないから休憩なんて不要」
『必要なんです！人にとっては必要不可欠！』
「俺は写しだ、人ではない」
完全なる人だと思うのだが……
そうだ、ここはお茶でも入れて飲みながら会話でも弾ませて距離を縮めていこう。
『(そうと決まれば早速……)』
「……おい、どこ行くんだ」
『お茶を淹れてこようかと……』
「なら俺が行く」
『え、大丈夫ですよ！私が淹れてきますから』
「……そうだよな」
『へ？』
「写しが淹れたお茶なんて飲みたくないよな」
……山姥切さんの予測変換って壊れてるのかな
他の本丸の審神者は一体どんな風に山姥切さんと接しているのだろうかとか考えても、きっと接し方なんて私がポジティブになったり彼を引っ張っていかないと変わらないんだと思う。
『……私、写しとかわからないんですってば』
「……」
『言ったじゃないですか、貴方は貴方だって』
「……！」
『私は貴方が写しだからと言って差別とか軽蔑とか私にとって無縁で興味なんてないんですよ』
山姥切さんは顔を伏せ、立ち上がると私の手をとり自分に引き寄せて頬に触れさせる。
「俺は人ではない��物��だ。あんたの物だ。あんたが俺を振るっているんだ」
『私が……？』
「少しくらい興味を持て」
翡翠色の瞳が私を射抜く。
真っ直ぐで逸らすことが出来ない。
「座ってろ、茶くらい淹れられる」
そう言って部屋を出て行く山姥切さん。
取り残された私は力なく畳の上に座り込んだ。
『(物なんかじゃないよ……)』
だって私は、物だなんて一度も思ったことないのだから。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
