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三島はにやりと笑う。
｢今度はなによ。空か、海か、ビルか…｣
｢人｣
｢…え｣
三島は目をまるくした。
｢珍しい。いつも、人なんて描かないじゃない｣
｢ちょっと、ね｣
｢なになに、誰よ。もしかして女の子？｣
三島は興味津々である。
｢ちがうよ、男｣
｢へぇえ？ますます誰｣
｢わからない｣
｢どういうこと｣
｢偶然バスで見かけて…すごく描きたいって思ったけど、名前も知らないんだよ。同じ制服だったから、この中学なのは間違いないけど｣
｢どんな人だったの｣
(どんなって、そりゃあ)
Aは少し、言うのをためらった。なぜか顔が熱くなる。
｢…めちゃくちゃ綺麗だった。人形みたいな。あんなの、見たことない｣
からかわれるかと思ったが、三島は下を向き腕を組んで、考え込む顔つきになった。
何を考えているのかとAが身構えていたら、彼女はぱっとこちらを向いた。
｢その人って、髪は茶髪で長めだった？｣
｢ああ、うん。そうだ｣
｢待って。知っているかも、その人｣
｢ほんとかよ｣
｢知りたい？｣
｢うん｣
｢じゃあ、放課後に部室に来ること。部長命令よ｣
三島がそう言った直後、ちょうど昼休み終了のチャイムが鳴った。
#
Aは美術室の戸を開けた。
4、5人くらい人がいて、そのうち2、3人くらいがちらりと入口を振りかえった。
奥に、椅子に座って足を組み、キャンバスに鉛筆を走らせる美術部部長──三島がいた。
｢よう｣
｢うぃっす｣
三島は手の動きを止めずに返事だけ寄越した。
｢聞かせてよ｣
｢待ち、ちょい…｣
5分くらいして、一段落したのか三島ははじめてこ ちらを見た。
｢でー、なんだっけ…｣
｢だから、例の男子の｣
｢ああ、そうだった。君が、美少年にひとめで魅せられたとかいう話だっけ｣
｢そこまで言ってない｣
Aは誇張するなと言いかけたが、誇張でもなんでもないと気がついた。恥じ入って口を閉じた。
｢いいねえ、A。やはり芸術家はそうあるべきだよ、君。魅力を感じたら自分に素直に。恥ずかしがらず、モデルが男だろうと描きたいものは描きたい！きっと…｣
｢待て待て｣
三島は一度しゃべらせると止まらない。いつもひとりでしゃべって悦に入り、酔っている。まあそれが愛嬌になりうるのが彼女なのだが。
三島はコホン、と咳払いした。
｢失礼。ええと、彼はたしか梅野君だね｣
｢梅野…｣
｢同性のAにそこまで言わせるような男子は、私には一人しか思い当たらない。同じ2年のはずよ｣
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天泣tenkyu(プロフ) - 読みやすい わかりやすい 面白い 、の三拍子ですね！笑めちゃくちゃ読むの楽しくて一気に全部読んでしまいましたぁ…… (2018年10月11日 20時) (
レス) id: daeb79a243 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(金欠）(プロフ) - 面白かったです。お疲れさまでした！ (2018年2月26日 5時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白いのに、勿体無いと思います。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 読みづらい。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - めっっっちゃおもろいです!!二人が再会できて良かったです!!更新頑張ってください!!q(^-^q) (2017年12月27日 17時) (携帯から) (レス) id: 76f089da6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぺこ | 作成日時：2017年10月30日 0時
