*べっぴんさん 【銀時side】 ページ33
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「お待たせ、みんな。」
「完成したぞ」
しばらく経ってから、茶屋から車椅子を押して出てきた日輪と月詠が言うと、待ってましたとばかりに、駆け寄ってきた神楽と晴太。
「ほら、Aちゃん出ておいで」
日輪に呼ばれて、茶屋から出てきたのは、めっきりと見違えた姿をしたAだった。
「うわぁ……
姉ちゃん、すっげぇ綺麗だよ」
「うんうん、ごっさ綺麗アル!!モデルさんみたいネ!!」
「そ、そう、かな……」
「んもう、ほら、銀さんも何か言っておやりよ」
なかなか言わない俺に、急かすように催促され恥ずかしいのか顔を染める彼女に
「ま、まぁ、綺麗に化けたもんだ」
なんて言うと、顔を上げてはち切れんばかりの笑顔で
「ありがとう、銀時!」
って。
なんだか俺が照れくさくなって、誤魔化すように頭をガシガシかいた。
「良かったねぇ、Aちゃん。」
「でも、やりすぎたかもしれんな。」
「どういう意味?月詠姉」
「お見合いを断りに行くのに、こんな姿を見せたら、上手くいかぬと思うんだが」
「……確かに」
「って、わっちも言ったんだが……」
「逆に美人すぎて、男の方から諦めるわよ、きっと。」
「なんか可哀想に思えてきた……」
日輪の言い分に、見合い相手に同情し始めたAは、かかっていた時計を見るなり驚いた顔で、俺の裾を引っ張った。
「銀時、そろそろ行かないと……」
「もう時間か」
「うん。少し距離あるし、この着物動きにくいから、早めに動きたい」
「……動くなよ」
「え?!……って、うわっ!ちょ、ちょ……ぎ、銀時っ……」
Aの姿を見ると、そう言って彼女を抱き上げると、所謂お姫様抱っこにした。
「ちょっ……お、下ろして!銀時!!」
「だあーっ!!暴れんな!着物が崩れっだろ」
「銀時。お主も大胆な事をするな」
「なんか銀ちゃんキモいアル。顔がデレデレしてるヨ」
「っるせぇな……
時間もねぇし、俺たちはこれで行くぞ」
「えっ?!ぎ、銀時?」
「捕まってろよ」
何が何だか分かってないって顔して、言われた通り俺の首に捕まったA。
それを見計らって茶屋を出ると、見合い会場まで走った。
……なぜ走ったか?
本当は歩いても間に合ってたんだが、照れてるのか、嬉しそうに緩ませた顔をしているAに、俺がどうにかなっちまいそうだったからに決まってんだろ。
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時