*吉原 【あなたside】 ページ31
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「あっ!!A姉ちゃんだ!!
Aねぇ〜ちゃ〜ん!!」
お見合い当日。
妙ちゃんに見繕って貰った着物を着て、吉原に来ると、遠くから猛スピードで走ってきては、飛びついてきた男の子が。
「あら、晴太くん。こんにちは」
「姉ちゃん、なんで来てくれなかったんだよ!!オイラ達心配してたんだ!!」
「ごめんね。ちょっと色々あってね。」
「あ〜っ!!晴太!!お前、抱き着くなヨ!A姉に抱き着いていいのは、私だけって決まってるアル!!」
「なんだよ、神楽ちゃんはいつもいるじゃないか!
今は、オイラが独り占めするんだよ!!」
晴太くんと神楽ちゃんが、私の周りで喧嘩を始めるもんだから、思わず躓いてそのまま倒れると思った時、腕を引っ張られ厚い胸板にぶつかった。
「おい、お前ら。Aの周りでふざけんじゃねぇぞ。
今日は、着慣れない着物着てんだから。」
「ぎ、銀時……」
「大丈夫か?A」
「え、あ、う、うん……ありがとう」
「ん。
ほら、てめぇら行くぞ」
さり気なく心配してくれた銀時に腕を引っ張られ着いた先は、お茶屋さん。
ここでは、お化粧とか髪結とかをやってもらう手はずだった。
「あら、Aちゃん、久しぶりね」
「日輪さん……お久しぶりです。」
「綺麗な着物ね……似合ってるわよ」
「そんな……ありがとうございます」
さすが、吉原桃源郷一の花魁。全てが美しすぎて顔を見ることが出来ない……
「じゃあ、早速やりに行きましょうか」
「あ、お願いします……」
「いいのよ。月詠も中で待っているから。
銀さん、晴太の事しばらくお願いしますね」
「じゃあ、車椅子押しますよ」
「あら、ありがとう」
日輪さんが乗る車椅子を押して、茶屋の中に入ると、煙管をふかして障子に寄りかかっている人が。
「月詠ちゃん」
そう声をかけてあげると、目を開けて小さく笑みを浮かべ煙管を消してしまった。
「A、久しぶりじゃな。元気だったか?」
「ええ。……まぁ、少しだけ調子が良くない時もあったけど、今は大丈夫。」
「そうか……
でも、まさか主が見合いとは……」
「そうねぇ……Aちゃんの周りには、いい男がたくさんいるのに……」
「いやいや、そんな……」
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時