膨れ顔 ページ45
.
『これ、北斗のアカウント？』
｢うん、そ｣
『ずっと言おうと思ってたの、ほぼ毎回1番にいいねくれるから』
｢当たり前じゃん、だれも1番にさせない｣
『あれ、でも事務所ダメじゃないっけ』
｢プラベだし、なんも投稿しないし
そもそも俺、SNSきょーみないし大丈夫｣
『…なんで作ったの』
｢Aのを見るため｣
『それだけ？！』
｢十分でしょ｣
飲み終わったグラスふたつをササッと洗ってSNSを更新してると
ずっと彼だろうと思っていたアカウントから
投稿1秒でいいねが来て。
案の定やっぱり彼ってことで
『そゆとこすき』
｢……なぁに、可愛い｣
なんだか愛おしさが芽生えてくるよ
ここまでくると。
｢あ、そう言えば｣
『んー？』
思い出したって顔をしたと思ったら、さっきのご機嫌な顔から一転、
スマホの画面を私の顔の前に膨れ顔で持ってきた
『なに、雑誌？』
SNSかと思った画面は私がよくお世話になっているファッション誌の画像で
『…あれ、これ次の次の号じゃん
なんでこれ持ってんの、撮影まだなんだけど』
よく見ると2ヶ月もあとの月が書いてあるものだった。
その号に出る予定の私でさえも、企画だけ聞かされているくらいで、
まだ撮影も始まっていないのに
彼がなぜこれをも持っているのか理解できなくて、そう聞くと
｢Aが結構な頻度で出るから毎月チェックしてるのは知ってるでしょ？｣
全然答えになっていない答えが返ってきた。
『うん。
だけどそれまだネットにも出回ってないよ、
イメージ図みたいなやつだし』
｢俺ね、この号の表紙するの｣
『…っえ、そうなの！あ、そういうこと！』
だから、編集者さんにその画像貰ってたのね！
『やった、一緒の冊子じゃん！』
｢うん、やっと｣
同じクールでドラマをやったりしたから、同じテレビ雑誌に載ることはあっても
同じファッション誌に載ることは何気に初めてで
『嬉しいねっ』
って抱きつくと、すぐに頬を緩めたくせに
｢うわ、あぶない
違うの、俺が言いたいのはそこじゃな…くはないんだけど、
特に！言いたいことが別にある｣
嬉しそうに抱きしめ返そうとした腕を
わざわざ引いて私を引き剥がすと、
今度はあるところを指さしながらまた同じ画像を見せてきた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3555人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れんり。(プロフ) - bbbさん» コメント気が付かなくて、時間が経ってしまっていてすみません。。とても嬉しいです、ありがとうございます！ (2021年5月3日 17時) (
レス) id: f1c4f19e3d (このIDを非表示/違反報告)
bbb - 凄く面白いです！更新楽しみにしてます！ (2021年3月15日 15時) (レス) id: 07513b1c51 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れんり。
| 作成日時：2021年2月26日 23時
