2-32 ページ3
「何であんなことしたの?」
心底わからないと言った声だ。
尋問では無さそうだ、少し肩の力が抜けた。
私は顔を上げた。
「死ぬと分かってる人がいるのに、見殺しするのが嫌だった。」
「なんで??」
また、聞き返されてしまった。
理由を言ったのにその理由さえ分からないとは。
本当に感性が違うようだ、こいつに普通を求めることは出来ないのかもしれない。
「私は人が殺されることが殆んど無いところで育ったから。で、命とは尊いものであると習った。その倫理観を守るために助けた。」
「君の唯一の友人は沢山人を殺してるけど?」
彼はトランプを具現化してニヤリと笑って返答を待っている。
いじの悪い奴め。
「基本的にはいい。知らない奴が殺されてもどうも言わないし、なにも思わない。今回、私が助けたのは、助けれる可能性があって、力もあるからだ。そうじゃなきゃ、見殺しにした。私は、自分の常識を守るために助けた。相手のことは殆ど思ってない。」
「ふーん♣️常識って言ってるけど殺人鬼の友人は常識じゃないだろう?」
ニッコリ言う。
痛いところ突くなぁ、返答にとっても困る。
最も私の心情に近い回答は"キャラだから"そういうものだと思っている。
これは絶対に言えないし。
他にあるとしたら…?
なんだこれ、アイデンティティの確立になってるぞ。
「……多分自分には害が無いし楽しいからだと思う。………もう止めろ、自分でも自分のことは全て分からない。」
「わかったよ♠️」
彼はまだ理解できないと言う表情だが、これ以上私には言うことがないのだ。
これ以上の哲学は楽しいが、直ぐに答えは出そうにない。
彼は納得せずに帰った。
帰り際に小さめの声で一言だけ心に刺さることを言われた。
「一生理解できそうにないね♦️」
ヒソカがその言葉を残し部屋から去っていく。
ああ、そうさ、そうさ、理解なんてできるはずが無い。
いる世界自体違うんだから。
私は呆然とそこに立っていた。
何か言い様の無い虚しさがそこにはあった。
「でもね、尊重はできると思うよ。」
私のそんな強がりで出た独り言をポツリと溢す、無意識だった。
その時の私は奴にまざまざと見せられた価値観の違いの壁を少しでも薄く出来ると自分に言い聞かせようとしていたのでは無いだろうか、そう今は思う。
本当にこのときはただただ言い様もなく寂しかったのを覚えている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミネルバ(プロフ) - 検屋敷屋さん» 文字数制限で少し言葉足らずになっていたので、もう一レスします。よくいる人のようにして、読み手と大きな解離を無くしたりしています。それ以外の描写にもなるべく突拍子のないことは書かないことにしています。読んでいただき有り難うございました。 (2020年2月11日 18時) (
レス) id: b85da6c807 (このIDを非表示/違反報告)
ミネルバ(プロフ) - 検屋敷屋さん» 有難うございます!!この夢主は正義があるともいえず、逆にクズとも現せれないよくいる曖昧な人のように書いています。そこにリアリティと言って貰えて嬉しい限りです。今後も素敵と思ってもらえるように頑張ります!! (2020年2月9日 19時) (レス) id: b85da6c807 (このIDを非表示/違反報告)
検屋敷屋(プロフ) - キャラの性格が崩されずリアリティがあって楽しく読めます。応援してます。素敵な小説をありがとうございます。 (2020年2月8日 20時) (レス) id: 8f1e53f51b (このIDを非表示/違反報告)
ミネルバ(プロフ) - ひなたさん» 有り難うございます!! 何処がツボに嵌まったか分かりませんが、この小説は作者の趣味を全面に押し出したものなので、これからも楽しめると思います!! (2019年11月7日 0時) (レス) id: b85da6c807 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - はじめまして！こういう小説探してました！！！最高です！これからも応援してます！ (2019年11月6日 17時) (レス) id: 0dee45b0bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミネルバ | 作成日時：2019年9月25日 8時
