ちぐはぐ・モラトリアム (ページ14)

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Story14 ページ14

「あ、はい…今日、転入してきて… 」

「あー、君がね。あの噂の」

…噂？

キョトンとしていると、ほれ、と椅子を差し出され、俺は素直にそこに座らさてもらう。

「構内でもう噂になってんぞ。すっげぇ綺麗なやつが入ってきたって」

「えっ！？」

「確かに綺麗な顔してんなあ」

彼はそう言うと俺をじっと見つめてくる。

なんだか恥ずかしくて目を背けると、フフ、と笑われた。

「早速怖い目にでもあったか」

「な、なんで」

「野獣ばっかだろ？ここ。…あ、俺は手、出さねぇよ？安心しろ。同意がないうちはな」

彼はそう言うと俺の前に椅子を持ってきて座る。

「俺、大野智。高2」

大人っぽいと思ったら、やっぱり先輩か…。

「あ、えと、俺は、中3の松本です」

「松本、なに？」

「潤です…」

「…潤、かぁ…綺麗な名前だな」

…その優しい笑顔に俺は何だかドキドキして、目をそらす。