２.Ito ページ4
「三橋さん大変です！！」
「三橋ならまだ来てないよ」
朝から走って教室に入ってきた佐川に伝えると興奮気味に俺の元へやってくる
「伊藤さん、おはようございます！さっき見たことないツッパリが門の前にいたんすよ！他校のやつかもしれません」
「この辺の生徒かな」
「それが見たことない制服で…もしかしたら他県のツッパリかも！」
ぜひ倒して他県まで名を広げましょう、と勝手に盛り上がっている
無駄な喧嘩はしたくないんだけどなぁ
「まだ絡まれてねぇし放っとけばいいだろ」
怠そうに頭を掻きながら話に加わった金髪は欠伸を一つし、流れるように佐川から弁当を受け持った
「唐揚げだ」
「下準備ちゃんとしてあったんで美味いっすよ、力作っす！」
人からもらった弁当で早弁ってどうなんだ
「三橋さん！名前売るチャンスっすよ」
「俺はもうユーメイだろ」
「勿論三橋さんは千葉で1番最強っすけどね」
「当たり前じゃ」
「調子いいな、お前」
「ぐふふ…朝から聖子ちゃんの特集やってたからな」
「そろそろ写真集発売っすもんね！」
「写真集の話はやめろ、金ねーんだヨ！」
ダラダラと話していると軽い足音が廊下に響き、聖子ちゃんカットの女の子が入ってきた
女の子─理子ちゃんは俺たちを見つけると笑顔で会話に加わる
…見た目からして不良な俺たちの中に臆せず普通に混じる理子ちゃんはなかなか肝が据わってるなぁ
「皆おはよう…って三ちゃんはまた人のお弁当取って！」
「取ってねーよ！これは佐川から俺へのソンケーの証だ！変な言いがかりはやめろ！」
「いや三橋さんが持ってこ…はい、そうですね尊敬の証です」
「今目で脅したよな」
「そーんなことは断じてしてない、人聞きの悪いことを言うんじゃないヨ伊藤くん？」
いただきます、と勝手に机に広げ始めた弁当に蓋をかぶせる
凄い睨んでくるがもう朝礼が始まる時間だ
「いただきますじゃないでしょうが、早く自分の席に戻んなさい」
「ケッ！いたうちゃんは相変わらず真面目なこって」
「はいはい」
ブツブツ文句を垂れながらも片している所を見ると、コイツも人の事言えないよなぁと思う。
口にすれば殴られるだろう
…痛いから絶対言わない
三橋が席に座り、また弁当を出した瞬間前の扉から椋木が髪を払いながら入ってきた
某金と八がつく教師の様に話し出した椋木は三橋を見て何故が笑い出す
「えーっとね、今日は…んふ…転校生がね、ははは…います…ふふ…どうぞ」
転校生？
「…うぃーす」
入ってきたのは何故かボロボロになっている怠そうなツッパリだった
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作成日時：2019年9月7日 1時
