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それから僕とレイスは二人きりで会う様になった。

最初は僕が彼に命を助けてくれたお礼をしたのが始まりだった。

悪魔とは言え命の恩人である事には変わらない。

果物や肉を持って行くと彼は喜んだので毎回会う時はそれらを持参した。

レイスと話す時は楽しくてゼウスの浮気の事も忘れる事が出来る。

「なあ、アンタはゼウスの事が好きなのか?」

二人で会う時は自然と彼の人の話題を避けるきらいがあるレイスは、今日に限ってそんな事を訊いてきた。

「んー……レイスはどう思う?」

逆に訊き返すと彼は少し躊躇ったのちに、言いにくそうに呟く。

「……あんまし、好いてない様に見える」

あー、やっぱりか。()も薄々その事に勘付いたんだろうなぁ。

前は前で、今は違うのにね。

「……その演技、そろそろやめにしませんか」

そう言うとレイスは何が?とはぐらかそうとする。

「もうとっくに見破ってるんですよ、ゼウス様」

したり顔で言うとレイスはため息を吐き、雷を纏った。

見る間に変身が溶け、神々の王・ゼウスが姿を現す。

「……何時から、気付いていたんだ。あの悪魔の正体が俺だと」

「あの鎖を簡単に解けるのはゼウス様くらいしか居ません」

僕がそう答えるとゼウス様は苦笑いを溢す。

「ところで、どうしてこの様な事を?」

一番気になった事を訊いてみる。僕らは夫婦なんだから正体を隠す必要なんてなさそうだけど。

「お前を戒めたあと、お前の部屋の机から、これを見つけた」

そう言って懐から取り出したものは、離婚届。

母であるレアーからのサインも有り、あとはゼウスのサインがあれば離婚が成立する。

「俺と、離婚したかったのか?」

確かにあの離婚届は結婚をして間もない頃に用意したものだった。

ゼウスと別れたくて、少しでも浮気をする素振りを見せれば迷わず突き出そうと思っていた。

なのに結局離婚する事さえ迷ってしまった。

「……まあ、結婚当初はそう考えていました」

肯定するとゼウスは苦虫を噛み潰した表情になる。

「矢張り、今の俺じゃお前の心を満たせないのか……」

「そりゃあ結構前に心を奪って行った神が居ましたからね」

「なっ!?誰だそれは!」

此処まで言ってまだ気付かないゼウスに若干呆れてしまう。

ゼウス以外の男なんか知るわけ無いのに。

「……ゼウス様、それ本気で言っておられるのですか?」

今までとは違う雰囲気を纏った僕に彼はたじろいだ。

3→←女神に成り代わりました。



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作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月12日 22時

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