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41話 ページ42

貴方サイド

朝日が昇っても、寝た気がしなかった。

未だに気分は落ち着かないし、どんな顔をして三日月と顔を合わせれば良いんだ。

布団の中で悶々と考え込んでいると襖の外から燭台切の声がする。

何かと思って襖を開ければ爽やかな笑顔を浮かべる燭台切が立っていた。

「おはよう、主。起こしに来たよ」

にっこりと笑う彼を眩しく思いながら、お礼を伝える。

「……主、顔色が悪いようだけど寝てないのかい?」

燭台切の鋭い一言を笑って受け流す。

「ちゃんと寝たよ。大丈夫」

けれど彼は僕の頬に手を当て、上向かせた。金色の瞳に覗き込まれ、居た堪れなくて目を逸らす。

「君、もしかして───」

燭台切が何か言いかけた、その時。

「わっ!!」

急に耳元で大声が聞こえてぎゃあっ。と口から悲鳴が出た。

驚いた燭台切の手が離れて安堵したが、心臓はまだバクバクしている。

「どうだ、驚いただろう?」

得意げに胸を張りながら言う鶴丸の頬を思いっきりつねる。

「ひゃっ、ひゃひふんだ!」

鶴丸の焦った顔を見てケラケラ笑っていると燭台切がため息を吐いた。

「もう、鶴さん。朝から驚かせないでくれよ」

燭台切の苦言を受け、鶴丸は僕の攻撃から脱出しながら彼に向き直る。

「光坊が主の様子を見に行ったと聞いたからな。来てみたら何やら良い雰囲気だったんで、これは驚かせるチャンスだと思ったんだ」

なんとはた迷惑な刀だろうか。しかし鶴丸の行動は今に始まった事じゃない。

頭を悩ませながらもそういう事に慣れてきている自分自身に気づき、苦笑する。

この本丸は、何もなければとても平和で過ごしやすい。

例え刀剣達との溝が深くても、お互い意識さえしなければやっていけるのだから。

そこに信頼関係が無くとも。

「……主?」

燭台切の声に顔を上げれば、二振が僕を凝視していた。

「なんでもないよ。着替えたら大広間に行くから、二人は先に行ってて」

そう伝えると鶴丸と燭台切は何か言いたそうにしながらも去って行った。

着替え終わったので部屋を出て、大広間に向かう。

なるべく三日月とは目を合わせないようにしよう。そう思いながら大広間に入ると視界いっぱいに青い服が飛び込んできた。

固まったまま青い服を見つめていると上からのんびりした声が降ってくる。

「おや、主だったか。おはよう」

予想通り、極上の笑みを浮かべる三日月が僕を見下ろしていた。

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もこ(プロフ) - 望月海さん» すみません!男主だと思ってました。本当にすみません(_ _;) (6月28日 7時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - もこさん» ご意見の方は少し構成を考えさせていただきますね。 (6月27日 23時) (レス) id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - もこさん» もこさん、感想ありがとうございます。せっかくのご感想なのですが、このお話は女主を設定としているので、もこさんの好む男主ではありません。作者が僕っ子好きなのですが、誤解を与えてしまったようなので訂正させていただきました。 (6月27日 23時) (レス) @page1 id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - コメント失礼します!私男主の愛され大好物なので嬉しいです!刀剣男士全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください!出来たらなんですけど短刀たちにも恋愛的に愛されたいです()いきなりすみません (6月27日 17時) (レス) @page23 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - 匡さん» ありがとうございます♪早速書いてみます! (2017年5月23日 23時) (レス) id: 546fdd6d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年1月24日 22時

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