粟田口の新しい短刀が来たら僕の扱いが雑になった件について【刀剣乱舞】

32話 ページ33

貴方サイド

あの後、獅子王に何度もキスをされた挙句、首には数え切れないほどの痕を付けられた。

噛む力が強かったのか、血が滲んで居る。

暫く包帯を外せないな……

包帯を巻きながら、眠り込んでしまった獅子王を見る。

一応布団を敷いて寝かせては居るが、真名を知られた時は本当に焦った。

獅子王は、何処で僕の真名を知ったんだろうか。

それ以前に、僕が恐怖していたのは、今後の獅子王の僕への態度。

彼は僕を神隠ししないと言ったが、真名を知られて居る以上、安心なんて出来ない。

それに、精神的に病んでいる獅子王が何時、僕を神隠しするか分からない。

こういう時の場合、普通なら真名を知った刀剣を刀解するのが一番良いのかもしれない。

……でも、獅子王のあの泣き顔が頭から離れない。

どうして獅子王が泣くのか、理解出来ない。

けれど、何故か放って置けない。

そう思うのは、前みたいに、闇堕ちして欲しく無いと願っているからだ。

ここの刀剣達には、幸せでいて貰いたい。

それが、僕の望みだった。

それは獅子王も例外じゃ無い。

僕は未だに眠る獅子王の頭を撫でて、そっと部屋から出て行った。

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