4話 ページ6
ルルーシュがバスルームに行ったのを見送り、私はスザクの背中にぼふっとバスタオルごとダイブした
ス「わっ!?...も〜、なにしてるの?せっかく綺麗になったのにまた濡れちゃうよ?」
貴『スザクこそ。ルルーシュのことばっか拭いて、自分のこと全然拭いてないじゃん。スザクが風邪ひくのは、私だって嫌なの!』
私はわしゃわしゃと子犬を拭くようにスザクの頭を乱暴に掻き回すと、スザクは面白そうに笑い声を上げた
ス「ふっ、あはは!Aに拭かれるのって、なんだか心地よくて好きだなぁ...」
すっと大人しく身を寄せてきたスザクに私は気を良くし、仕方ないなぁと言いながら濡れている顔から上半身までバスタオルで拭いてあげた。
私が左腕を拭いていると、見覚えのない大きな切り傷のようなものがあることに気がついた
貴『ねぇ...この腕の傷なぁに?』
スザクを見ると、明らかにしまったという文字が顔に書いてあった。私はいつも、スザクに新しい傷が増える度胸が痛くなる。私が知らないところで軍人として戦場を駆け回り、傷を増やすスザクを見ていると泣きそうになってしまうのだ
ス「そんな顔しないで...お願い。僕は君の騎士になるために多少無茶してでも皇帝陛下とシュナイゼル殿下に一刻でも早く認めてもらわなくちゃいけない」
スザクが私の頬を撫で、そっと抱き締める。
そう。私は皇族。しかもシャルル皇帝陛下の大のお気に入りという嬉しくないオマケ付きだ。
当然皇族である私には専任の騎士が付けられるが、スザク以外の人間になってもらうつもりは無い。
しかしシャルル皇帝とシュナイゼル兄上は、早く騎士をつけろと口うるさく言ってくる。
だからスザクはこんなに体を傷つけてして数々の功績を挙げ、2人に認めてもらえる騎士になるつもりで無茶をしてるんだと理解はしている。でも納得はしていない
ス「僕は僕の意思で君を愛して、君の騎士になると誓った。だから君はそんな顔しないで。笑顔で僕の帰りを待っていて」
泣いてしまう私に、そっと触れるだけのキスをして、再び、今度は強く私を抱き締めてくれた。
私は、その日初めて神様にお願いをした。
どうかスザクが、毎回無事に私の元に戻ってきてくれますように
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作者名:ぴー | 作成日時:2019年3月1日 2時