出逢い ページ47
「実弥。今日は君に会わせたい子がいるんだ。」
「会わせたい…ですか？」
春の中旬。桜の花弁はヒラヒラと飛んで暖かい日々が過ぎていくなか任務の報告中お館様に突然ひき止められ現在に至る。
「あぁ、Aという次期柱候補の子だよ。」
「誰かの継子というわけではないのですか。」
「うん。ただ少し今彼女は荒れててね。優しい子なんだけどどこか昔の君を見ているようなんだよ。」
任せられるかい？と訊かれ、無論お館様の願いであるため承知した。
「ほら、おいでA。」
「はい。」
ふわりと桜の匂いが強まった気がした。
鈴の音の様な可愛らしい声が聞こえたと同時に奥から端正な顔立ちをした少女が歩いてくる。
「今日から少しの間だけですがお世話になります。愛川Aです。」
昔の自分に似ていると言われどんな暴君のような女なのかと思えば随分と華奢で礼儀正しいおしとやかな少女だった。
気になる点と言えば無表情で少し愛想がないというところだけで他は完璧の美少女だ。
「それじゃあA。実弥の言うことをきちんと聴くんだよ。」
「はい、お館様。」
そして礼をして門から出て彼女に向き合う。
「お前、年いくつだ？」
「女性にいきなり年齢を訊くなんて無礼ですね。柱の癖に常識もないんですか？」
一瞬思考が停止した。
見た目とはほど遠いほどの傲慢な態度。敬語を使っているだけましだが言っていることは酷い。
「無礼なのはテメェだ。上司に質問されたら答えだけ言えばいいんだよ。」
「チッ……」
「舌打ちすんな。」
「………16。」
思ったより幼くて驚いた。
生意気盛りの少女を押し付けられて溜め息しか出ない。
「これから任務だ。二十人の隊士達が町に任務で行ったっきり帰ってこないらしい。おそらく十二鬼月でもいんだろ。」
「……」
「お前は周辺の鬼を倒して生き残った隊士を救出しろ。」
「……嫌です。」
「あ"ぁ？」
拒否の言葉につい低い声が出てしまった。
「鬼狩りはします。ただ二十人もいながら鬼に勝つことの出来ない無能なんて生かす意味がないかと。」
確かに隊士の質は落ちる一方。鎹鴉のいうことを聞かず任務を放棄する者もいる。
「無能だからこそ
「………ぃ…か…」
「あ"？」
「それは�牋Ν瓩任垢�？」
当時、まだ愛を知らない愛川Aが人形の様だったのはハッキリ覚えている。
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るる - 読んでて勝手に涙が出るくらい素敵な作品です。涙が止まりません… (2022年8月25日 23時) (
レス) @page45 id: a731806c24 (このIDを非表示/違反報告)
零流 - 涙が止まらないです… (2020年5月28日 11時) (レス) id: 5357f72739 (このIDを非表示/違反報告)
舞 - 色んな作品を毎回楽しませてもらってます！本当にお上手ですね！今回は悲しくて涙が出てしまいました…他の作品も楽しみにしています！ (2020年4月4日 1時) (レス) id: 536eb77c6b (このIDを非表示/違反報告)
遥 - いいお話です。涙が出ました‥ (2020年3月26日 11時) (レス) id: 89c9ae8a6f (このIDを非表示/違反報告)
なななななな - 今年初めてガチ泣きしました… (2020年3月2日 11時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AOI 3
| 作成日時：2019年9月21日 14時
