参拾弐話 ページ33
「なんで今言うんですか………」
「…………」
「死にたくなくなっちゃうじゃないですか。」
唖然として俺を見たあとAは頭のなかで俺の発言を処理したのか、綺麗な笑顔を歪ませて悲痛な声音で俺にすがる。
「せっかく平気を装ってたのに………崩さないでくださいよ……！」
「愛してる、A。」
「………普段はそんな事言ってくれないのに」
彼女の背中にそっと手を置く。
愛を与え続けた彼女の人間らしい姿を見れて少し嬉しかった。
「開口一番に交わろうとか言ってきたわりには俺の愛は素直に受け取れねぇのかよ。」
「だってあれは私と先輩の挨拶じゃないですか…！」
「どんな挨拶だよ馬鹿。」
涙の膜を張る彼女の丸い瞳を見つめる。
すると顔を赤くして俺の胸に顔を押し付ける。
その一連の動作がまた愛らしくて堪らなかった。
「いきなり積極的になりすぎですよ！心の準備が出来てません！」
「天下の愛柱様がこの様とは……笑えるなぁ？」
「いやぁあ！！先輩のろくでなし色魔！ふしだら！スケベ柱！」
「人聞きのわりぃこと言うんじゃねぇ！」
忘れてはいけないのはここは蝶屋敷。今は胡蝶は任務で不在だか継子や住み込みの女がいる。
変な勘違いをされては他の柱に弄られるのは目に見えている。
「たっくよぉ……結局返事は？」
「えぇ……今訊くんですか？」
「逆にいつ訊くんだよ。」
少し狼狽える彼女はやはり新鮮で見ていて飽きなかった。
「ほら、早くしやがれ。任務があんだよ。」
「そういう大胆な性格も愛してますけどぉ……じゃあ明日また蝶屋敷に来て下さい。」
「明日は……」
大きな任務は明日はない。ただ彼女の命が尽きる日の前日だ。
「死に際は先輩と共にいたいんです。駄目ですか？」
自分の顔に熱が集まるのが分かる。
結局いつも彼女にしてやられる。
…………………………………………………
更新遅くてすみません。
鬼滅の刃をジャンプで見ていて推しがとうとう…ショックで学校行きたくない。
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るる - 読んでて勝手に涙が出るくらい素敵な作品です。涙が止まりません… (2022年8月25日 23時) (
レス) @page45 id: a731806c24 (このIDを非表示/違反報告)
零流 - 涙が止まらないです… (2020年5月28日 11時) (レス) id: 5357f72739 (このIDを非表示/違反報告)
舞 - 色んな作品を毎回楽しませてもらってます！本当にお上手ですね！今回は悲しくて涙が出てしまいました…他の作品も楽しみにしています！ (2020年4月4日 1時) (レス) id: 536eb77c6b (このIDを非表示/違反報告)
遥 - いいお話です。涙が出ました‥ (2020年3月26日 11時) (レス) id: 89c9ae8a6f (このIDを非表示/違反報告)
なななななな - 今年初めてガチ泣きしました… (2020年3月2日 11時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AOI 3
| 作成日時：2019年9月21日 14時
