足でドン ページ12
「困るんだが」
「いや俺も困ってるんだわ」
「じゃあまず離れてくんね?」
「無理」
普段仕事に対して完璧主義の彼が、現場でミスを連発しだした。
普段仕事に対して完璧主義の彼女が、うわの空状態で現場に来だした。
二人がそうなったタイミングは、全く一緒だった。
何かあったに違いない。
「久しぶりに会えたのと久しぶりに会えたのに何も挨拶してこなかったのと連絡をしたのにスタンプであしらわれたのが積み重なり怒りが爆発しちゃってよお……あぁそれと一人のパイセンについて聞きたくてな、わ!ざ!わ!ざ!お前の収録終わりを見計らって迎えに来てやってんだよ。このあと何も無いよな?飯がてら話聞かせてもらおうじゃねえか。」
その真相を探るべく、俺は今、女性声優とのラジオ収録を終えたばかりの彼女の方に足ドンをしている。
「怖過ぎるわ!この場に碧ちゃん居たらどうしてたわけ?」
「媚びへつらうに決まってんだろ」
「早く本性バレちまえよ…」
あ?と言いかけそうになったが角からスタッフさんが現れたので二人で「おはようございます〜、お疲れ様です〜」と営業スマイルでペコペコ挨拶。
人のこと好き勝手に言ってっけど、何気にセトも外ヅラはある。
まぁそれも知ってるのは俺くらいだけど。
「で?ご飯はどこ行くのよ。宏太郎。」
「どんな飯屋より騒げるとこ」
個室で、いくら騒いでも大丈夫で、ストレスも発散できる飯屋つったらあそこしかない。
俺もバカじゃないからちゃんと策は練って来てるんだ。侮らないで欲しい。
「いやバカか!!何でカラオケ!?」
「はぁ〜!?!?大人しくしとけやドリンクは何ですか!?」
「メロンソーダですあざっす!」
バカと言われたことにぷんすかしながらメロンソーダのボタンを押す。
俺はコーラにしよ〜。さて何歌おうかな………って本題忘れるとこだった。久しぶりにカラオケ来たからワクワクしてたわ。
「ドリンク持ってきたよ〜」
「はい…はい、お願いしまーす…。お、ありがとうドリンク」
「………たこ焼きは?」
「頼んだよ。ついでにオニオンリングも。」
「はぁ〜〜〜〜〜!これだから嫌いになれねぇ〜!!」
江口さんと似てんだよなぁ、人の好きなもの覚えててそれをパッと出せるとこ。
「本当ずるいわ!」
「何がだよ!」
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男性声優」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:oguro.san | 作成日時:2019年10月21日 20時