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視界がふらつきだしたと思ったら、地震のようにぐらぐらと揺れる。
頭の芯を揺さぶられるような感覚に、思わず額に手を当てて、座席の背もたれにもたれた。
視界が、暗く狭くなっていく。
────これは、なんだ。
視線を落として目に入ったのは、冴島さんの足元にかかった吐瀉物。
それは、自分と腕と手に付着しているのと同じもの。
まさか。
「………
…っ、早川さん！
特定は、できませんが、機内の空気が汚染されています…！」
『汚染？』
窓開けます、と言って、なるべく外の空気を取り込むために、運転席の通風坑も開かれる音がした。
「……灰谷くんも、窓、あけて…」
「っあ、は、はい！」
ベルトを外して窓辺に近寄る彼を横目に確認しながら、私は無線機のスイッチを押した。
頼む、報告するまではもってくれ、私の意識。
「────こちら翔北ドクターヘリ。
ヘリの機内で患者が嘔吐、は…吐瀉物を浴びた冴島さんが、…意識を失いました…」
ちゃんと言えてるかな、額にじっとりと脂汗が滲んで、気持ち悪い。
「灰谷、香坂も…、吐き気、めまいの症状が出てます…」
『────香坂、除染の準備して待つ』
ヘッドフォンから聞こえる声は、緊張した固さを帯びていた。
「おね、が…ぃ」
でもその声にひどく安心して、私はそのまま目を閉じる。
意識が闇の底に沈んでいく刹那、皮肉にももうひとつの病が、私の胸に突如として爪を立てた。
「────────っあ…!?
く、………ぅ…っ！」
胸のあたりを、汚れていない方の手で掻きむしるように掴む。
どくどくと、早鐘を打つ度に、締めつけられるような痛みが駆け抜ける。
そのせいで、私の意識は完全に覚醒してしまった。
────痛い、気持ち悪い。
痛い痛い、いたいいたい…！
「香坂、先生…？」
呼吸の荒い私に気がついたのか、灰谷くんが声をかけてくる。
まずい、誰かにこのことを、まだ知られるわけにはいかない。
「……だ、いじょうぶ…、不整脈もち、なだけ」
ね？と青い顔で笑っても説得力ないかなぁと思いつつ、少しずつ治まりつつあった痛みを息を吐いてやり過ごし、力の入らない足を叱咤して、私は冴島さんの処置にかかった。
上体を起こして酸素マスクをつけさせ、できるだけ窓のそばへ。
これ以上感染を広がらせないようにするために。
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あやみん - 名取先生が、自分に、恋したなんて、最高です!!!!! (2019年8月19日 12時) (
レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 16話、朝日は登りつつではなく朝日は昇りつつ、ではないでしょうか？ (2019年2月10日 15時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 14話、以外にも耕作だった。ではなく、意外にも耕作だった。ではないですか？ (2019年2月2日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 13話冒頭、横峯さんではなく横峯ではないですか？意図されてでしたらすいません (2019年1月18日 22時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
rabbit - 32の下から9行目「手術中にに」となっています。間違っていたらごめんなさい。 (2018年10月6日 23時) (レス) id: fec1ec90ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月1日 0時
