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(緋山)


ICUからHCUへ行く私の隣に、Aがそっと並ぶ。



「緒方さん、後悔してないと思うよ」

「A…なんでそのこと」



なーいしょ、と笑って、彼女はそっと私の手を握る。



その小さな手は、とても温かかった。



この手で、彼女はいくつの命を救ってきたんだろう。



「だって、先に言ってくれた方が、これから自分がどうしていくべきか選択しやすいじゃん?

大事なのは、未来を考えることじゃなくて、いまをどう生きるかだと思うんだよね」



だからそんなに落ち込まないで、ズバッと言えるのは美帆ちゃんのいいところだよ、と笑って、Aは私の背中を一度叩いた。



あんたってさ、ほんと自分が意識してないうちにも、沢山の人を救ってるんだね。



「いってらっしゃい」



最後にもう一度、あの子の顔が見たくて、私は後ろを振り返った。



変わらず、そこに立っていてくれる存在が、どれほど私たちの支えになっているか、彼女は知らない。



「……あんたってさ、ほんっと最高」

「へへっ」



まさか同じ言葉を緒方さんの口から聞くなんて、思ってもみなかったけどね。



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(白石)

ごめん、ちょっと眠気限界。



そう言って仮眠室になだれ込むようにして向かったAに、無理させてしまったと後悔している。



シアンにやられて弱った身体をフル活動させて、彼女は秋本さんの処置に当たってくれたのだ。



することも特にないし、しばらく寝かせてあげよう。



Aを見送ったあとに初療室に戻ると、灰谷先生がひとり、器具の処理をしていた。



「灰谷先生ー?

今日は帰ったほうがいいよ?」

「あ…はい。

………あの、白石先生」

「ん?」



後でAの好物のシュークリームでも買って行ってあげようかなぁなんて考えていた。



「すみません…。

あの、シアン騒ぎのときに」



ああ…そういえばあのとき、灰谷先生は…。



「僕あのとき、患者さんのことも、倒れた冴島さんのことも考えられませんでした。

香坂先生は僕より状態が悪そうだったのに、冴島さんの処置をずっとしていました…。

怖いって…こわくて。

────僕は臆病者なんです」

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作品ジャンル:恋愛
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あやみん - 名取先生が、自分に、恋したなんて、最高です!!!!! (2019年8月19日 12時) (レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 16話、朝日は登りつつではなく朝日は昇りつつ、ではないでしょうか? (2019年2月10日 15時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 14話、以外にも耕作だった。ではなく、意外にも耕作だった。ではないですか? (2019年2月2日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 13話冒頭、横峯さんではなく横峯ではないですか?意図されてでしたらすいません (2019年1月18日 22時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
rabbit - 32の下から9行目「手術中にに」となっています。間違っていたらごめんなさい。 (2018年10月6日 23時) (レス) id: fec1ec90ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月1日 0時

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