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さて、この状況はどうしたものか。



「何を躊躇してる、肋間の上で思い切って開け。

何度もやれば出血が増えるだけだ」

「……、はい…!」



白石先生が灰谷くん、藍沢先生が横峯さんにそれぞれ指導している。



片一方は指導と呼べるかは微妙だけど。



私は少し離れた場所でそれぞれのカルテに目を通しながら、会話を聞いている。



「早くしろ」

「ちょっと…!」

「……げふん!」



藍沢先生の催促に白石先生が講義の声をあげたところで、咳払いをひとつ。



そのとき、横峯さんのほうでぐちっと嫌な音がした。



「あっ…」



藍沢先生はふーっと息を吐きながら天を仰ぎ、頷いた。



「……お見事。

皮下組織に命中だ。」




あー…、こりゃ変わった方がいいかな。



「すいません…、できません」

「横峯さん、奥まで挿し…」

「現場でもそうやって匙を投げるのか。

ドクターヘリでは医者はお前1人だ。

隣でいちいち教えてくれる指導医はいない」



私の言葉を遮って、藍沢先生は横峯さんの目をじっと見ながら言ってのける。



「しかも現場の患者はたいてい状態が悪い。

お前が失敗すれば患者は死ぬし、何もしなくても死ぬ。」

「……やります…」



渋々患者に向き直った横峯さんを確認してから、近寄って彼の腕を小突いた。



「今日めちゃくちゃ喋るじゃん」

「……放っておけ。

それ、落とすなよ」

「はいはー、────」

「────絶対に無理だ!!!」

「うっわ!?」



あ、あぶな…薬品入った小瓶、落としかけた…。



宮本さんのお父さんの怒鳴り声、ここまで聞こえてくる。



なんか一昔前の教師みたいだなぁ。



本当に落としたくないし、撤退した方が身のためかな。



怒鳴り声を聞きつつ移動させる荷物をまとめて退散すると、後ろから耕作がついてきた。



────あれ、先生もういいの?



「さっきの同意書貸してくれ」

「はい」



なるほど。



私に続いて階段を降りる耕作と雪村ちゃん。



「香坂」

「あ、はい。

ちょっとこれお願い」



抱えていた荷物を一度彼に渡し、私はタブレットにペンを滑らせる。



香、坂…歩きながらって書きにくいな。



「何かわからないことがあったら冴島に聞け」

「────っぶ」



タブレットに目線を落としていた私は、いつの間にか前に来ていた耕作の背中にぶつかった。



え、なに、どうしたの。

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作品ジャンル:恋愛
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彩架(プロフ) - 3話の「始め」ではなく「初め」ではないですか? (2018年10月13日 23時) (レス) id: d02e226a01 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 話に話を咲かせる、ではなく、話に花を咲かせる、ではありませんか? -14cm-です (2018年9月28日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - すいません、先程の書き込み、訂正させてください。「ステンド」ではなく、「ステント」ではありませんか? (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - -18cm-の京先生の考えてること、何個目かはわかりませんが…、「それは」の後の「、」が「,」になってます (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - -18cm-の京先生が一番最初に考えてること、ステントグラフトになっています。ステンド、ではないです? (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月27日 12時

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