12 ページ16
────今だって、私は親の気持ちがわからない。
勝手な決断に振り回されるけど、でも、それでいいのだと、いまなら思える。
彼らの成功も失敗も、一緒に背負ってやる。
その覚悟さえあれば。
────ねぇ、教えてよ、過去のわたし。
どうしてあのとき、そんな選択をしたの?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(白石)
服を着替えてから緋山先生とエレベーターに向かう途中、中学生くらいだろうか、悲しきかな、Aよりも背が少し高めの子が、エレベーターを降りてぱたぱたと駆け出した。
「藍沢先生、みーつけた!
久しぶりだね。
ねぇ、A先生どこ?」
腕に手を絡ませたのにはちょっとドキリとしたけど、すぐにそれを解く藍沢先生にほっとする。
「まだ1週間も経ってないだろう。
…あいつなら自販機だ」
A先生なんて呼ぶくらいだから、結構親しい仲なのかも。
いや、きっとそうだ、そうに違いない。
「あとできっちり説明してもらわないとねぇ」
そんな緋山先生の言葉を締めに、エレベーターのドアは閉まった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(藍沢)
「なんだ、こんな時間に」
「コンクール近いから点滴くる暇なくて、遅くなっちゃった」
「そうか…」
Aが少し彼女のことを気にかけていたのは、コンクールが近くて病院に来れていなかったからなのだろう。
「藍沢先生とA先生は?
まだいる?
ねえ、なんで二人とも脳外辞めちゃったの?」
「…辞めてはいない」
「じゃあまた戻ってくる!?」
俺は辞めたわけではないが、おそらくAはもう二度と────。
「さっさと帰れ、コンクールが近いなら尚更だ。
…あまりあいつに心配かけないでやってくれ」
「……これが聞きたかったんだよねぇ。
A先生のこと、ほんとに大切にしてるんだね」
思わず顔が上がる────が、すぐに画面に目を向けた。
「やぁっぱりここか…ほれ、大好きなA先生もご一緒だ」
「新海先生、その呼び方やめ…」
「A先生〜!会いたかった!」
「おおぉっう、分かったから離して…し、しまる…」
14歳に抱きつかれ、ギブギブ、と背中を叩く三十路前の女医。
「シュールだな」
「……あぁ」
3276人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩架(プロフ) - 3話の「始め」ではなく「初め」ではないですか? (2018年10月13日 23時) (レス) id: d02e226a01 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 話に話を咲かせる、ではなく、話に花を咲かせる、ではありませんか? -14cm-です (2018年9月28日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - すいません、先程の書き込み、訂正させてください。「ステンド」ではなく、「ステント」ではありませんか? (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - -18cm-の京先生の考えてること、何個目かはわかりませんが…、「それは」の後の「、」が「,」になってます (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - -18cm-の京先生が一番最初に考えてること、ステントグラフトになっています。ステンド、ではないです? (2018年9月21日 17時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月27日 12時