1 hour of fate． -運命の1時間 1- ページ3
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(香坂)
その決断や判断が、ときに誰かの人生を大きく左右することがある。
────後悔のないように、生きろ。
その言葉が、今朝ふっと頭の奥で弾けた。
数週間前、無理だけはするなや、と念を押して大阪へと帰って行った────そう、たしか京先生という、関西弁を話す方が、やけに私に親しかったのを覚えている。
あれから3日に1回は連絡がきて、体調はどうやとか、病院には慣れたかとか、ときには他愛もない世間話などをしてくれる彼に、どこか懐かしさを感じていた。
ふと思い至って、首からさげているチェーンにぶら下がる、ピンクゴールドのリングとシルバーのニトロペンダントを、スクラブの下から取り出す。
会話がスムーズにできるようになった頃、これは恩師である黒田先生と、あの藍沢先生から頂いた、記憶を失くす前の私の、大切な大切なお守りだったのだと、白石先生から伝えられた。
まるでそのふたつは私の元に戻ってくるのを心待ちにしていたかのように、なんの違和感もなく、いまこうして身につけることができている。
週に一度様子を見に来てくださる黒田先生が、小さく11年前のあいつみたいだ、と呟くのを聞いた。
つまり彼は11年前────私が高校生のときから、私を知っているということになる。
────そう、あの人に誘われて、ここに来たんだ。
最近、いくつか思い出したことがある。
この病院までの道のり。
白石先生をスタッフリーダーとする、救命のスタッフメンバーの顔と名前。
これまでにこなしてきた、オペの数々。
手先に残る、縫合の感覚。
朝、医局でのわずかな時間を、こうして珈琲の香りをまとって過ごすこと。
けれどいま、手元のマグにあるのは、ブラックコーヒーではなく、甘いカフェオレ。
この数週間で普通の量にまで戻った食事は、どちらかと言えば洋物が多い。
まだ、どうしても思い出せないこともある。
藍沢先生の私を見る目が、ともすれば涙がこぼれそうなほどにゆがめられること。
まるで、心の底から痛いと慟哭しているように。
そして、自分がどういう人間で、どういったふうに患者に接していたのか、まったく思い出せない。
────ほんとうに、私がここにいていいのかな。
ふくらんでいく不安を胸に、マグを洗って医局を出る。
職場復帰2週間目の朝が、始まろうとしていた。
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リラン(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！読むたびに次をもとめてしまう！今後も期待してます！話は変わりますが、少年陰陽師読んだことありますか？何となく文が似ている所があってずっと気になっていたんです。急に質問すみません。もし知らないのであれば申し訳ないのですが… (2019年2月12日 12時) (
レス) id: c050d878db (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 18、大大抵ではなく、大抵では？ (2018年7月4日 20時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
鈴子 - コードブルー好きにはたまらないね\^-^/ (2017年10月14日 21時) (レス) id: bbbfeb8862 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！更新される度に続きが気になって気になって！最終回、楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2017年9月19日 23時) (レス) id: e98d2ab7a8 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢せんせすき - 面白すぎます笑楽しみにしてるので更新頑張ってください^ ^ (2017年9月19日 22時) (レス) id: 0944e50e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月12日 0時
