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(香坂)
「まずいな…どこから出てる」
右手はひとつめの裂傷部────遮断できる幅のない内壁を押さえているから、左手1本で探っている状況だ。
救命戻って初っ端に死人が出たなんて言わせない。
いよいよ緋山先生呼んでもらおうかと思った時、向かい側からするりと、真新しい手袋に包まれた手が差し入れられた。
────耕作だ。
視界に赤い血液を流す便が見える。
「見えるか」
「ナイス…右の総腸骨静脈。
そのままお願い、白石先生遮断いける?」
「任せて」
右手はそのままに、名取くんに針と糸を要求する。
いまのうちに塞いでしまおう。
「────遮断した…香坂先生」
「こっちも縫合終わるよ。
……よし、血圧どう?」
「血圧60まで戻りました…!」
雪村さんの声に、ほっと肩の力を抜く。
「ぎりぎり……危なかった…」
「お疲れ、香坂先生」
────心臓止まるかと思った……。
天を仰ぐ私をじっと見つめていた耕作と視線が合う。
「藍沢先生ナイスフォロー、ありがと」
「いや、いい」
こうして、夕方の救命は幕を閉じた。
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(藍沢)
白石に救命に戻るよう促されたのを断ってICUから出ると、入口の向かいの壁にAが立っていた。
「さっきはありがとう。
やー、小さい手だと隙間に入れるからいいし、縫合しやすいから便利だと思ってたんだけど、止血には向かないね。
あそこで止血入ったのは私のミス、ごめん」
「右手が塞がった状態で総腸骨静脈の裏側を探り当てといて、何を言ってる。
…よくやったな」
「そこを1発で広げてくれた藍沢先生も流石です」
じゃ、私このままICU残るから。
そう言って入っていく彼女を見送って、脳外科部に戻った。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁
作者です。
医療用語、聞き取ろうとしているのですが無理だと判断したところは省略しています。すみません。
1話、2話はスペシャルで長いですね、来週までに終わるかな〜(;´д`)
最後になりますが、たくさんのコメントありがとうございます。返信遅くなりますが、ひとつひとつ読んで返していきますので、お待ちください。
コメントが私のやる気ご飯です〜!
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時