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(白石)
緋山先生にせめて藍沢先生を戻すために説得してこいと促され(追い出され)、渋々乗ったエレベーターの中に。
あの、まるで磁石のようにひっついては離れる二人が乗っているなんて、誰が想像できるだろう。
「あ、恵ちゃん!
よかった、今から救命行くとこだったんだ!」
「A…エレベーターだけど、人が来たら白石先生って呼んでね」
「はーい」
素直に返事をする彼女は、同い年なのに妹のような存在になっていた。
壁に凭れている藍沢先生に目を向け、再びAに視線を落とす。
「…なんだ」
それを何度か繰り返しているうちに、藍沢先生に声をかけられた。
「う、ううん…。
あっ、今朝はコンサルありがと、Aも。
助かったよ」
「午前中だけでホットライン5件はきついな」
「何?心配してくれてるの?
大丈夫だよ、緋山先生戻って来てくれたし、フェローたちもじき、使えるようになると思うから」
「あ、そろそろ着くね。
耕作、荷物ありがと」
────ん?荷物?
見やれば藍沢先生の手からAの手に、ダンボールと鞄が渡されていた。
「そっちまで持っていく」
「いいよ、大丈夫。
アメリカ持込みの持久力舐めないでよ」
あ、大事なこと忘れてた!とエレベーターのドアの前でAはふんわりと笑った。
「今から手続きしてそっち戻るから、みんなによろしくね」
「…コンサルならいつでも呼んでくれ」
え?まって戻るってどういうこと?
や、その前にお礼!
「ありがと、いつも助かる…!」
結局、説得できずして終わった…。
あー、緋山先生になんて言おう…。
────今から手続きしてそっち戻るから!
────戻るから…!
「…へ?」
さっきのが幻聴でなかったとすれば、Aは戻ってくる?
え、うそ?
本日2回目、パンクしそうな頭で物事を整理しようと考えていたら、ガコンと音がしてエレベーターの扉が閉まりかけていた。
「あっ、ちょ…!」
そのまま突っ込もうとしたら、やっぱり肩に扉が激突する。
「いたい……」
どうやら、夢ではないらしい。
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時