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「んな棒読みすんなよ」
脳外科部部長・西条章先生。
フェロー時代に何度かお世話になったことがある。
ゆっくり荷物を片付けようと思った矢先、耕作の携帯が鳴ったのはついさっきのことだ。
「A、お前も来い」
「おみやげ買ってないけどいいかな」
思わず本心で呟くと、美帆ちゃんに爆笑された。
普通何かやらかしたかと心配するだろう、と。
そして、今に至る。
ソファに座っていたふわふわとした髪の男性が、こちらを振り返った。
「あ」
お互いの声が重なる。
踏ん張りがきかなくて、荷物とひっくり返りかけた身体を支えてくれた腕の感触が、背中に蘇った。
「先程はありがとうございました」
「いえいえ、まさか関係者だったとは。
てっきり救命で運ばれた患者のご家族かと思いました」
ぺこり。
頭を下げれば明るい声が返ってきた。
────脳外科の人だったのか。
「知り合いか?」
「ああ、うん。
ぶつかっちゃった人が救命、手が足りてないって言ってたでしょ?その人」
「え、なになに。
藍沢のカノジョ?」
かのじょ。
カノジョ。
彼女。
────へ?
「茶化すな。
…救命時代の同期だ」
「ふふっ、妹?って聞いてこない人、初めて見ました。
───任務は明日からですが、本日より脳外科に配属されました、香坂Aと申します。
未熟ではありますが、どうぞよろしくお願いします」
「新海広紀です。
え、香坂Aさんって、あの?
部長、マジですか」
「“あの”香坂A先生だ。
まあ立ち話もなんだし、ふたりとも座れ」
どの?香坂さんを指して言っているのかさっぱりだが、西条先生に顔を向けると、まあ座れと促された。
向かいのソファに腰を下ろすと、隣に耕作が座る。
西条先生ではなく、新海先生を見ていた。
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時