*zm ページ47
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「Aまだ食える?食おう?それとも飲む?何か頼む?」
『食べれないし飲まないし頼まないよ』
「なんでぇ……」
『この机に脱落した死屍累々を見てから言ってよゾムくん…』
「名誉ある敗北やん?」
やばいこと言ってるよ、と呆れた顔をしつつ俺の事を無視しないA。久しぶりにご飯に誘ったら例の如くトントンとコネシマとエミさんと大先生が来たから嬉しくて奮発して一人ずつご飯を頼んだ。俺はまだ食えるんやけど些か今日は飲み過ぎた自覚がある。やから普段言わん言葉もすらすら出てきてしまう。
「A〜…俺にあんま会ってくれんから寂しいんやけど」
『うわ、…ゾムくん飲みすぎじゃない?』
「飲み過ぎてへんし、答えて」
『ごめんね、社畜なもんで…』
「あんな仕事辞めろっていつも言ってんのに」
俺もトントンもグルッぺンも口を揃えて同じ事を言う。ド真っ黒なあんな会社にようおれるな、ほんま。見る度に痩せていくAを心配しとったけど、幼馴染達が再開してからは血色が良くなったから安心と不満と、あー、やっぱり不満。ほんま、酔ってるんかな。
「……なぁ、A」
『なあにゾムくん。お水頼む?』
「ううん、要らん。やっぱりあのマンション解約して俺と一緒に住も?」
『うーん…』
悩むふりはするけどどうせ断るんやろうなぁ。そんなAの素振りにイラついて、勝手に凭れかかった肩に頭をグリグリと押し付ける。まぁ、俺普段からAには甘えてる方やからどうせ今日も許してくれるやろ。けどほんまムカつくな。いつもAを独占してる幼馴染という立場が、ホンマにずるい。
「Aの馬鹿」
『えー…もう、ゾムくんの情緒が心配だよ私』
「そんな事言わんといて。追加で焼売頼んでもええ?」
『A、おなかいっぱい!』
頭をふわふわと撫で付けて俺の機嫌を取ろうとするA。魂胆見え見えやけど不思議と嫌やなくて、ホンマにもうあかんな。俺、首ったけやん。
「……A、」
『今度はなあに』
「俺の事、どんくらい好き…」
今度の質問には悩む事も無くて、間髪入れずに返された台詞にまた簡単に絆される。こんなにアピールしてんのに、どんだけつれへんねん。あほ、馬鹿って小さい声で呟く俺にAも笑う。
俺にしとけばええのに。
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まる(プロフ) - 久々にこの手の類を見たくなって、極道に始まり、距離バグと脅威入手…団子侍様の独特で丁寧な小説を読んでしまうと、上質すぎて中々他のお話へ飛べませんw 楽しいお話をたっぷり読めて嬉しいです!今後も応援しております…! (2023年4月10日 8時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 完結してから一番乗りの超絶早いコメントありがとうございます!冬野様には何度もコメントを頂いて本当に嬉しかったです!最後までお付き合いありがとうございました! (2022年8月19日 1時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - わぁ〜!番外編までお疲れ様でした。すごく好きです。めちゃくちゃ好きです。ありがとうございました。大好きです。(語彙を失う) (2022年8月19日 1時) (レス) @page50 id: 017b983cf1 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - みひろさん» コメント&ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!正しく全員分の心の内だったりを細かく書いて最後に終わりたいな〜と思っております!完結はしましたがどうぞ最後までお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 冬野様 ご丁寧に、また思いの籠ったコメント頂き本当にありがとうございます。色んな方の反応やお声に支えられて無事完結できてホッとしております。今後とも何か作品をあげましたら是非宜しくお願いします! (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:団子侍 | 作成日時:2022年1月30日 13時