*ut ページ38
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「なぁAちゃーん…」
『ん〜〜?』
「なぁんで君が視聴者さんらから距離感バグってるって言われてるか知ってる?」
『ん〜…?あ、ちょ、鬱くん動かないでよ失敗する』
はぁ、と溜息を吐いた所でお隣に座るこのお姉さんは話に聞く耳も持ってくれませんわ。
いや、ちゃうねん。ええねんで?隣に座ってるだけやったらな。
珍し〜く同じソファに来て俺の隣の席に座ったかと思えば完全に体重をこっちに預けて忙しそうにゲームをしている。
俺の家、そんで隣の席に来る事事態がまじでレアなのに、こんなくっついちゃってさぁ。まあ俺もそれに涼しい顔してるけど内心ドキドキのバクバクでほんまエーミールみたいな事になっとる。童貞ちゃうのに。
ほんまは煙草を吸おうと思ったのに、こんなに近くにおるんやったら副流煙が怖くて吸えへん。なら、さっさと置いてベランダにでも行けばええのにな。
ブラック企業勤めのAちゃんの休日、グルッペンの邪魔無し。ついでにトントンもおらん。ホンマに今日は珍しいこと続きやから、俺も柄にもなく煙草を素直にしまっている訳で。
とにかく心を落ち着かせたくてトトトと慣れたように画面をフリックする。
@utu072
すみません。休日やのにどっかの誰かさんの幼馴染が僕ん家におるんですけど。あ、僕は毎日が休日です。
するとものの数分でピコンと俺のじゃない通知音が鳴る。
スマホでゲームをしていたAちゃんは、画面上部にその通知が映ったのか『げ……』とあからさまに顔を顰めた。
『…鬱くん何か呟いたでしょ』
「グルちゃんから密告来た?」
『いや、マンちゃん。そこは危険やから今すぐ帰りって』
いや、オスマン俺の事なんやと思ってんねん。
ってか反応早。モンペはグルッペンとトントンだけちゃうんかい。
よく見れば俺の呟きにもコネシマとシャオロンからリプが来ていたが当然無視。どうせろくな話じゃないしな。
「ん?Aちゃんもうゲームはええん?」
『疲れたし止めた』
「ふーん。そ?」
それなら何でまだ俺に凭れかかってんの?
なんて野暮な事は口にせず、調子に乗って頭に手を伸ばしてサラサラの髪を撫でてやった。
『撫でるの下手くそだね』って目を瞑って嬉しそうに笑うAちゃんを見て、そういうとこやぞって思った。
俺も距離感に振り回されてる一人なんよなぁ、結局。
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まる(プロフ) - 久々にこの手の類を見たくなって、極道に始まり、距離バグと脅威入手…団子侍様の独特で丁寧な小説を読んでしまうと、上質すぎて中々他のお話へ飛べませんw 楽しいお話をたっぷり読めて嬉しいです!今後も応援しております…! (2023年4月10日 8時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 完結してから一番乗りの超絶早いコメントありがとうございます!冬野様には何度もコメントを頂いて本当に嬉しかったです!最後までお付き合いありがとうございました! (2022年8月19日 1時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - わぁ〜!番外編までお疲れ様でした。すごく好きです。めちゃくちゃ好きです。ありがとうございました。大好きです。(語彙を失う) (2022年8月19日 1時) (レス) @page50 id: 017b983cf1 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - みひろさん» コメント&ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!正しく全員分の心の内だったりを細かく書いて最後に終わりたいな〜と思っております!完結はしましたがどうぞ最後までお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 冬野様 ご丁寧に、また思いの籠ったコメント頂き本当にありがとうございます。色んな方の反応やお声に支えられて無事完結できてホッとしております。今後とも何か作品をあげましたら是非宜しくお願いします! (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:団子侍 | 作成日時:2022年1月30日 13時