【wrwrd】距離感バグかよ 2

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手紙(それ)がいつ入れられたのか、どうやってとかを考えるよりも先にまだ近くに居るのではないかと言う恐怖から隣の幼馴染の家のインターフォンを慌てて押してみるも運が悪い事に出ない。
電話も何本か入れたが、運転中かはたまた仕事が長引いているのかそちらも留守番サービスに繋がるだけだった。


グルッぺンに繋がらない焦燥感から思っているよりも冷静さを保っておられず、バクバクと煩い心臓をどうにか落ち着かせたくてマンションから離れる事にした。
後から考えればトントンさんや約束したエーミールさんに連絡すれば良かったものの、この時は本当に頭が回らなかったのだ。

何を呑気に構えていたんだ。
実害は無いから、とか。相手がどうなるかなんて。
いざ事が起これば己を守ることだけで精一杯だと痛感した。

どこに逃げるなんて宛もなく、とにかく人目のある明るい所を目指せば辿り着いたのは近所のコンビニだった。

商品の陳列もいらっしゃいませ〜とやる気のないアルバイトの店員もいつも通りで少しだけ安心した。
幸い携帯と財布は入れていた為、コンビニで適当に食事を見繕って今日の所はホテルにでも泊まろうと1本お茶を手に取った。


『……っ、あれ？』


ブルブルと伸ばした手は震えてぼとりと重い音を立てて落としてしまった。まずい、拾わなきゃ。そうして震えを抑えようともう片方の手で制しても直ぐには戻らない。
得体の知れぬものへの恐怖がこんなにも大きいものだとは計り知れなかった。

俯いて手を見つめる私の視界にスニーカーが侵入し、早く退かなければと考えていればその人物がペットボトルを拾い｢落としましたよ。…って、あれ？｣と声を掛けてきた。

それに思わず大袈裟に反応してしまったが、ゆっくりと顔をあげてみれば見知った顔。


｢Aさんや！こんな時間にどうしたんですか？買い出し？｣

『チーノ、くん』

｢いやぁ偶然ですね！この前の飲み会の時俺すぐ酔っ払ってあんま話せんやったから会えて嬉し……って、Aさん！？｣



張り詰めていた気がぷつりと音を立てて切れたみたいに、ポロポロと涙が勝手に頬を伝った。
ギョッとしたチーノ君が慌てて肩を支え｢えぇ！！どうしたんですか！？俺、何かしたかなぁ？！｣と慌てふためいているが首を横に振ることしか出来なかった。

違うの、少し安心しただけ。そう口に出す事も今は難しくて、ただ彼の服の裾をぎゅっと握った。



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