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最初の違和感は微小だったと言うのに、それは塵のようにどんどんと蓄積されていく。塵も積もれば山となるなんて昔の人はよく言ったもんだ。
目の前には白い封筒の山ができる。


『不運とかじゃないよね、これ』


最早警察案件なのか?と何度か考えたが、白い封筒が入っているのみで実害は無いのでその手段には未だ至っていない。勿論グルッぺンにも報告していない。煩わせる程の事でもないと思っていたから。

でも流石にいつまで来るのか、という興味本位から少し前から手紙を保存するようにしてみればこのザマだ。意外とマメだね、手紙の持ち主。
手紙の中は読んだり読まなかったりするが、いずれも最初の頃と同じ旨のラブレターがしたためられている。


『…好き、か』


こんな想いを詰め込んで行動に移すほどまでに?
それはそれで凄いとまで感動すらしている。そんな事を口にしてしまえばトントンさん辺りに怒られそうだ。

とりあえずこれはもう少し様子見しよう。
明日も仕事はあるし、グルッぺンも出張から帰って来るらしいし。

見つかったら面倒だから纏めてクローゼットにし舞い込んだ。はい、証拠隠滅。ちょうどタイミング良く携帯の通知が鳴るもんだから思わず肩が跳ねた。


グルッペン早く寝ろよ
Aオカンじゃん



見てるのか?もしや隠しカメラとか付けてる?
自信を持ってそんなことはないと言いきれないのが悔しい。
その日はその可能性を打ち消しながらも気になってしまい、ついリビングやら玄関やらにカメラが無いか探した。無かった。夜更かししたのに…!


*


「おかえり」
『そっちこそおかえり〜』


鍵が開いていた時点で察していたけど、本当に幼馴染はこっちを私の家だと勘違いしてないか。自宅より居るでしょ絶対。

出張終わりで疲れているだろうにご飯が食卓に並んでいる。何か悪いなと思ってごめんねと言えば「全部デリバリー」と言われた。謝罪の言葉を返せ。


「何か変わったことは無かったか?」


出張終わりにいつも聞いてくる台詞。自分の事を番犬か何かだと思っているのか。ふと、頭の隅に白い封筒の山が過ぎったがいつもと同じ台詞を私からも返す。


『何もなかったよ』
「……ふぅん。そうか」



幼馴染の訝しげられた表情に少しドキリとした。



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まる(プロフ) - 久々にこの手の類を見たくなって、極道に始まり、距離バグと脅威入手…団子侍様の独特で丁寧な小説を読んでしまうと、上質すぎて中々他のお話へ飛べませんw 楽しいお話をたっぷり読めて嬉しいです!今後も応援しております…! (2023年4月10日 8時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 完結してから一番乗りの超絶早いコメントありがとうございます!冬野様には何度もコメントを頂いて本当に嬉しかったです!最後までお付き合いありがとうございました! (2022年8月19日 1時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - わぁ〜!番外編までお疲れ様でした。すごく好きです。めちゃくちゃ好きです。ありがとうございました。大好きです。(語彙を失う) (2022年8月19日 1時) (レス) @page50 id: 017b983cf1 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - みひろさん» コメント&ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!正しく全員分の心の内だったりを細かく書いて最後に終わりたいな〜と思っております!完結はしましたがどうぞ最後までお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 冬野様 ご丁寧に、また思いの籠ったコメント頂き本当にありがとうございます。色んな方の反応やお声に支えられて無事完結できてホッとしております。今後とも何か作品をあげましたら是非宜しくお願いします! (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:団子侍 | 作成日時:2022年1月30日 13時

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