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その出来事に目を丸くしたものの、
こちらも思わずふふっと笑みが零れそれに対しまた軽く微笑み返される。
なんとも和やかな空間、__それを遮る自身の声。
『嘘つき。』
肌に当たる冷たい夜の空気をより一層冷たくした気がした。
そう言われた男は動揺するまでもなく、
ただ先程と同様に口元に笑みを浮かべるだけだった。
"なんでそないな酷いこと言うん?"なんて呟きながら。
その問いは単純に会話に対しての返しではなく、
発言の真意について追求しているように見えた。
『貴方は私の事を受け入れるつもりなんてない…ましてや仲良くする気なんて更々ないでしょう?』
ut「…おかしなこと言うなぁ、頭や皆が認める人なんやから当然俺もとっくに受け入れてるに決まってるやん」
『嘘ね。』
ut「……偉いはっきり言うてくれるやん。なんでAちゃんはそう思うん?僕なんかした?」
困り顔になり私の表情を伺うように覗き込む。
それに対して私は、あぁなんて態とらしい、
なんてどこか冷めた感情が浮かぶ。
優しく梳いてくれていた手を取り希望通り目を合わせ応えを放つ。
『貴方はきっと誰よりも警戒心が強くて、臆病で、残酷な人…でしょう?』
__ねぇ、違う?
『…あなたは初対面の時に他の幹部のように明らかな嫌悪や警戒心は表に出さなかった。…むしろ愛想良く友好的な態度で私の懐に潜り込もうとした。
……あの状況でそれが出来るのは余っ程のお人好しか、
とんでもなく嘘つきな人だけよ。』
貴方は後者でしょ?と笑みを深め
その言葉に自身を重ねる。
青い彼は相変わらず読み取れない表情をしており、
ただ黙って私の言葉に耳を傾けていた。
ut「嘘つき、ねぇ…」
暫く黙っていた彼は漸く口を開き
嘲笑地味た反応を示しながら、軽く煙を吐いた。
ut「それは君もやない?」
疑問符こそついているがその言葉には疑いを含まず、何処か断定した物言いだった。それに対して私はニッコリと笑顔を貼り付ける。
『ええそうよ』
ut「やっぱりなぁ。嘘つきのことは嘘つきが1番わかるんやで」
『そうみたい』
漸く互いの化けの皮が剥がれてきて思う。
なんだ、似たもの同士案外仲良くなれそうじゃない?
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ぴく(プロフ) - 個人的に主人公の性格とか(全部)めっちゃ好きです!頑張ってください! (2020年9月21日 9時) (レス) id: 0dfcf80db5 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - レニさん» 読んでくださってありがとうございます!大先生のところは特に構成を練っていたのでそういって頂けてとてもうれしいです!ありがとうございます! (2019年11月29日 22時) (レス) id: 8616f492be (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - しおんこさん» こちらこそいつも変な時間に更新してしまって申し訳ないです…しかし!コメントとっても嬉しいです!!頑張ります!!! (2019年11月29日 22時) (レス) id: 8616f492be (このIDを非表示/違反報告)
レニ - すごく面白い…!チノくんとかうつ先生のところの話めっちゃ好きです!これからも読まさせて頂きます! (2019年11月29日 17時) (レス) id: be3a21bb3c (このIDを非表示/違反報告)
しおんこ(プロフ) - 夜遅くにすみません!雰囲気めっさすきですわぁぁー!!まじごっとですぜェ…………!! 更新楽しみにしてますぅぅぅぅ!!! (2019年11月28日 3時) (レス) id: 32a4d591a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:団子侍 x他1人 | 作成日時:2019年9月10日 22時