私の家族3【BROTHERSCONFLICT】

五節　side雅臣 ページ13

Aはとりあえず無事だった。





梓の話を聞く限りAが健康で居ることはまず間違いないと思っていいだろう。





ただ、問題はもっとある。





まず住まいだ。





今どこで寝泊まりをしているのか。





友達の家か、ホテルか、もしかしたら彼氏がいるかもしれない。





「…野宿？」





いやいやいやいや。それは無い。大丈夫だ。





「僕も兄貴失格、だね…」





長男として、僕はどっちの味方をする訳にも行かなかった。




両者に、対等な立場で接しなきゃ行けなかった。





僕がどちらか一方に味方したら最後。たぶん今以上に酷い現状になったと思う。





加担するわけでもなく、そっと見守っていたことに後悔はしていない。寧ろしておいてよかったと思うほどだ。





ただ、小児科医という時間にルーズになりがちな職業柄、あまり家にいれなかったのも事実。





これこそ言い訳にしかならないけど。





「まーくん、まーくん、Aちゃんはいつ帰ってくるの？？」





最近は毎晩弥にAがいつ帰ってくるのか聞かれるようになった。





その度に誤魔化してきたけどそろそろ弥も頭のいい子だから、気づき始めるだろう。





「大丈夫、もうすぐ帰ってくるよ」





大丈夫。絶対に無事にAを。





この家が私の家だと。





大事な妹にそう思って貰えるように。





僕は動くよ。

六節　side風斗→←四節　side琉生

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す