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翌朝、わたくし達がやって来たのは猫じゃらし畑。
猫じゃらしをコハクの武器で刈り取ると、それを石に叩きつける。
「まさかとは思うが、この猫じゃらしを食べるのか?ハ!私は遠慮しておこう」
「このままじゃ食えねえから、ブッ叩いて脱穀してんだろが。猫じゃらしは100億%!立派な穀物だ。粟のご先祖様だな」
「へえ、家では出てきたことないわね」
「……俺も食ったことねえよ。あくまで小麦の代用だ」
脱穀した猫じゃらしは、モサモサした緑色の塊。
「う〜む、めっぽう汚く見えるな」
「毛みたいのがいっぱいだよ」
「今の状態では美味しそうには見えないわね…」
それを水瓶の中に入れてかき混ぜ、ゴミと毛を取り除き、実だけを残す。それをすり潰せば───
「小麦粉──じゃねえ、猫じゃらし粉の完成だ……!!」
猫じゃらし粉が出来たところで、料理が始まる。
「粉に野鳥の卵をブチ込んで、灰のアク─炭酸カリウムでモチモチにする。4世紀頃に名も無きモンゴル人が偶然見つけた科学の飯だ。クロムみてえな何でも試すヤベーバカがいたんだろうなァ」
鍋に鳥肉や焼き魚などを入れて煮込むと、久々に料理らしい匂いが漂う。
そして完成したのは────
「俺らはな、3700年前このクッッソ旨い科学の飯を──拉麺、そう呼んでた。なんせ原始のグルメだ。意識高ぇ高級ラーメンよか100億倍は酷ぇかもしんねぇがな」
「しかし、これ正体は猫じゃらしだろう?」
コハクとスイカちゃんは食べるのを躊躇っている。わたくしも初ラーメンが猫じゃらしになるなんて思ってなかったから、なかなか口にする勇気は出ない。
だが、ここでクロムが男気を見せた。
「毒味は任せろ。新しいモンにためらわねーで飛びつくのが、妖術師の生き様だぜ!」
そう言って勢い良く麺をすすったクロムは、
「うめぇえええええ!!」
と叫んだ。
クロムに続いて、ラーメンを口にしたコハクとスイカちゃんからも絶賛の言葉が出る。
麺をすする感覚も新鮮みたい。
……お箸の使い方はいつか教えたいわね。
「いただきます」
さて、わたくしも初ラーメンを実食。……少しボソボソしてて苦い。
千空が好きなものだから若者が好きそうな味を想像してたけど……
「薬膳みたいな味が人気だったのね」
「全然違えよ…。このラーメンはまともじゃねえ……」
千空ががっくりと肩を落とす。
どうやら旧時代のラーメンには程遠かったらしい。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時