【Dr.STONE】科学少年の隣で

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　「スイカがこれ被ってるわけ聞かないでくれた人初めてなんだよ。きっと顔見られたくないんだって気づいてくれて、そっとしといてくれたんだよ…」

　いたく感動しているスイカちゃんだけど、それはちょっと違うような…。本当に人手が足りないから、スイカの殻被ってようが気にしないだけよ。
　……まぁ、千空はそんなことで差別なんかしないけどね。

　わたくしは膝をついてスイカちゃんと目線を合わせる。

　「はじめまして。さっき貴女とお話ししたのが千空、わたくしはAよ。よろしくね、スイカちゃん」

　微笑みかけてもスイカちゃんは微動だにしない。……嫌われたかしら？

　「キラキラ三姉妹より綺麗なんだよ！」

　漸くスイカちゃんから聞けたのは弾むような声。
　嫌われてないみたいで安心したけど………キラキラ三姉妹って誰。

　コハクに視線を向けると、村にガーネット、サファイア、ルビィというとびきり綺麗な三姉妹がいるのだと教えてくれた。

　「その三人も綺麗だが、Aの美しい仕草がよりAを綺麗に見せているのだろう」
　「あら、それは光栄ね。身体に叩き込んだ甲斐があったわ」
　「……叩き込んだんだよ？」
　「ええ、どんな時でも身体が綺麗に動くように何回も何回も練習して覚えさせたのよ」

　わたくし、結構努力したのよ。




　「スイカもいっぱい採るんだよ！」

　触発されたのか、やる気満々なスイカちゃん。
　砂鉄採ってるつもりなんだろうけど、流されてるように見える……。

　「桃太郎かよ！溺れんなよ!!」

　クロムから的確なツッコミが入る。
　確かに桃太郎に似て……って、なんで原始の世界のクロムが桃太郎を知っているの…？

　「クロム、桃太郎は誰から聞いた？」

　千空もそこに引っかかったみたい。

　「おぅ、千空も知ってんのか桃太郎」
　「ルリ姉がいっぱいお話してくれたんだよ！」

　…スイカちゃんも知ってるってことは村の中ではたいていの人間が知っていると考えて良さそうね。

　「考えてみりゃゴリラもなんで知ってる？野生でいるのか？」
　「ライオンも野生でいるなら、いるのではなくて？」
　「実物で見たことはないな」
　「でも桃太郎に出てくんじゃねえか、ゴリラ」
　「出てこねえよ!!」

　伝承でお話に地域差はあれど、流石にゴリラは出てこないわよ…。

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