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コハクは姉に温泉を届けに行き、千空はクロムの倉庫にあったもので実験を始めた。
「辰砂ーー通称、賢者の石。ドラクエでも出てきたな。熱すると水銀が採れる」
金狼のルール説明に一切耳を貸すことなく、採れた水銀に砂金を溶かし、金狼の槍先を強引に掴んでその中に突っ込む。
「この煙吸うんじゃねぇ、死ぬぞ」
脅しつつ火で熱したそれは、刃先が黄金で覆われた。人の顔が映り込むほどに煌めいている。
クロムと銀狼が素直に驚く中、自身の槍先が変化した当の本人は冷静だった。
「この妖術が何の役に立つ」
「ククク、クソの役にも立たねえが、テメー"金狼"だろ？金の槍合ってんじゃねえか」
「まさかとは思うが、こんなくだらんもので俺を買収しようと考えたんじゃああるまいな」
金狼の答えに千空が舌打ちする。
「金狼は無理だぜ。ルールはルールだしか言わねー堅物だからな」
「こういう子が案外簡単に転がせるものだけど、初手が肝心なのよね……」
金狼はじっと槍先を見つめる。
「……まぁ、わざわざ剥がす必要もない」
そう言って立ち去る金狼は得意げだ。
「……落ちたわね」
視界の端に千空とクロムが悪い顔をして腕を組んでいるのが見えた。
再びクロムの倉庫を物色する千空。
「植物もあんのか。センブリ、カンゾウ、オウレンってこれ全部漢方─薬じゃねえか」
「3700年経ってもまだ存在してるのね」
「人類がいなくなったからのびのび育ってんだろ」
「……効くのかどうかも怪しいけど、俺の身体で試してイケてた奴だけ貯めてんだよ」
別人のように沈んだ声。
発したクロムの顔は暗い。
「…それは随分と無茶をしたわね。危ないこともあったでしょうに」
「…ルリの奴の病気が治んなら、何だって集めてやるぜ。俺はその為に妖術師になったんだ…!!」
…嗚呼、この子もコハクちゃんと一緒だ。
女の子を救うために自分の人生を懸けている。
「千空、ルリの奴を救う妖術…カガクはねえのか！」
「診ねえと分かんねえ。とりあえず万能薬的なもんはあるが、作んにはあらゆるブツが足りねぇ。……クロム、テメーには全部話しといた方が良い。3700年前に何が起きたのか、崩壊前の世界のことを─」
千空は語った。
人類の進化の歴史、わたくし達が3700年前当たり前に生きていた世界のことを。──それをあの光で全て失ったことも。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね！ (2021年3月30日 7時) (
レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ！ 頑張って下さい ！ (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御影ゆき | 作成日時：2020年5月23日 20時
