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その後も説得を試みたものの、生真面目そうな青年─金狼はいっこうに首を縦に振らない。それに痺れを切らしたのか、コハクが武器を握り直した。
「…やむを得ない。今ここで私と闘うか?おお困った!ツーオンワンじゃないか。これは君達が有利だな!」
コハク、その顔は完全に勝利を確信した顔よ。相手が有利なんてさらさら思ってないでしょう。
金狼達も勝てないと分かっているのか、顔が引き攣っている。
「ククク、一触即発じゃねえか。ワッッルい顔すんな、テメーもよ」
千空はお湯で石鹸を泡立てると、指で輪を作ってそこに息を吹きかける。
「あら、シャボン玉。上手いものね」
輪から生まれたのはシャボン玉。
久しぶりに見るそれはとても綺麗だけど。
金狼は力強く槍でシャボン玉を突き、割れたそれに驚いている。
「なんだぁ、この怪しげな空飛ぶ勾玉は…!?」
少年─銀狼にいたっては普通に驚いている。
空飛ぶ勾玉って素敵な表現ね。
「はーん、そのレベルね。な〜ら丸ごとイタダけるな。科学力で40人のマンパワー、全員仲間にゲットしてやるよ。唆るぜこれは…!」
「ワッッルい顔するな。君も大概だぞ…」
本当。まるで悪役よ、千空。
「まずはとにかくクロムの奴をゲットだな」
「誰だそりゃ」
「フフフ、役に立つ男だぞ。それに何より一番チョロい」
「あら、それは楽しみね」
そのクロムは探さずともすぐに現れた。
「おーい、妖術だよぅクロムー!!」
銀狼が呼び掛けると、また別の少年が現れた。
「ビビってんじゃねーぞ、銀狼。俺ならもう駆けつけてるぜ」
快活そうな少年だ。
「沿岸から見えたぜ!こいつがよ。即来なきゃウソだぜ!俺はクロム、ヤベーほど頭の切れる天才妖術使いだ…!」
うん、確かに単純そう。
「俺は千空、科学使いだ」
「わたくしはA、強いて言うなら…言語使いかしら?」
「ハ!噂をすれば。探しに行く手間が省けたな」
「セッッコい妖術にビビってんじゃねーぞ、金狼銀狼!こんなもんはよ、木炭のアクからいくらでも作れんだよ!!」
千空が"おっ"という顔をする。
千空が否定しないということは合ってるのね。
「ビビってなどいない。未知の物を警戒しないのはただの間抜けだ」
「僕はフツーにビビってたけどねぇ」
「何をしに来た。俺は貴様の怪しげな妖術とやらに頼る気はない!」
金狼はあんまりクロムの妖術を歓迎していないみたいね。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時