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高台に差し掛かったところで千空が六分儀を取り出す。
「今日の出から3万5970秒─」
「今なんか凄いことサラッと言った？」
「千空は石化中1000億秒とか数えてたんだぞ。このくらい朝飯前だー！」
「六分儀で時刻から現在地が測れんだがな。精度がゴミ過ぎて話にならねぇ」
「お手製だものね。コンパスとかあれば違ったかもしれないけど」
「まぁな。つっても、このゴミしかナビはねえんだ。今鎌倉あたりか？正確な緯度経度が知りてえ…！」
「目印になる建物とかないのか！」
「鉄筋が腐ってんだぞ。残っちゃいねえよ」
「見渡す限り大自然だものね」
千空と大樹とAが話していると、一人辺りを見回していた杠が突然走り出した。
「杠？」
慌ててAが杠を追いかけ、男二人もそれに続く。
「あのへんだけ何故か木とか全然生えてない…！」
木の間から見える妙に開けた場所は──
「鎌倉の目印っていえば──」
──高徳院の本尊、鎌倉大仏。
「分かったぞ。現在地は北緯35度19分、東経139度32分だ…！」
約3700年ぶりに見るそれは、ところどころ朽ちてはいたものの、旧時代の姿を保っていた。
眺めていた杠の目から涙が零れ、大樹がギョッとする。
「どうした、杠！誰だ泣かせたのは！俺かー!?」
「違う、泣いてない！いや、泣いてなくはないんだけど！違うんだよ大樹くん！……私まだ今日起きたばっかで、なんか全然現実感ないっていうか。でもこの鎌倉の大仏様見たら、ホントに日本だったんだなぁって。ホントに何千年も経っちゃったんだなぁって。お母さんやお父さんやみんなのこととか急に……」
杠の身体をAが優しく抱き寄せ、頭を撫でる。
「……そうよね。寂しくなったり悲しくなったりが普通よね。起きたばかりで大変な目に合わせたのに配慮が足りなかったわ。」
「…ううん！私ばっかり泣いてごめんね。Aちゃんはやっぱり強いね」
「司に喧嘩売れる女と比べるもんじゃねえよ。それに心配するこたあねえ。今から俺らで司に勝って、全人類助けんだからな」
「そうだぞー杠！」
三者三様の言葉に杠は漸く笑顔を浮かべた。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね！ (2021年3月30日 7時) (
レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ！ 頑張って下さい ！ (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御影ゆき | 作成日時：2020年5月23日 20時
